京都大学の合格実績ランキングに異変が起きている。1位常連の洛南高校の合格者数が減りつづけているのだ。背景にあるのは「理系より医系」という受験生の志望学部の変化。受験に強い私立校の生徒が、京大理系より他大学の医学部を選ぶようになり、その結果、公立高校にも合格枠が広がっているのだ。この傾向は今後も続くのか――。

京都大学理系より国公立大医学部の人気が高い

2017年の京都大学合格者数トップは洛南の68人で、2年連続のトップとなった。京都大学で私立中高一貫校がトップとなるのは32年連続だ。2位は膳所(滋賀県立)と東大寺学園の66人、4位は北野(大阪府立)の64人で、この4校は僅差だった。5位は甲陽学院の51人、6位は洛星の46人と続く。

この京都大学の高校別合格者ランキングでは、近年、1位の学校の合格者数が減り続けている。今年トップの洛南の合格者数は68人だが、10年前にトップだった時は98人だから30人も減っている。

この20年のトップ校の合格者数推移を見ると、06年までは100人超だったが、07年に98人と100人を割り込み、08年は85人、09年に105人と盛り返すが、以降80人台が続き、14年に79人、15年は81人、16年は69人、17年は68人にまで減ってきている。

東京大学トップの開成はこの20年、06年と09年を除き、常に150人以上の合格者で、12年には203人が合格している。17年も161人の合格だった。他の旧七帝大で比べてみても、京都大学トップ校の合格者数が最も少ない。

京都大学の総合格者数が減ったわけではない。トップ洛南が116人合格した99年の京都大学の総合格者数は2849人だ。17年は2863人で、99年より14人も多いが、トップ校の合格者数はその時と比べて48人も減っている。

京都大学の合格者のすそ野が全国に広がり、近畿勢が苦戦しているという説明もできるだろう。だが理由はそれだけではない。近畿地方の合格者が減っているのは、受験生が京都大学理系より国公立大医学部を目指すという志望学部の変化もあるからだ。

文部科学省は「医師不足の解消」を謳い、08年から医学部の定員増に踏み切った。京都大学トップ校の合格者減少は、その時期と重なっている。近畿地方では医学部人気が非常に高いが、首都圏ではまだまだ東京大学の人気が高いため医学部人気はそれほどでもない。