14歳から約30年間、一度も就職やアルバイトをせずに、株式投資だけで生計を立て続けてきた「かぶ1000」さん。40万円だった元手は、現在2.5億円にまで増えています。なぜ勝ち続けることができたのか。そのポイントは、「とにかく割高な銘柄をつかまないこと」だと言います――。

※本稿は、投資術研究会編『カリスマ投資家たちの株式投資術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

 

過小評価されている「ネットネット株」

かぶ1000さんのスタイルはいわゆるバリュー株投資で、その中でも「ネットネット株」という種類に分類される銘柄を見つけ出して投資しています。

投資術研究会『カリスマ投資家たちの株式投資術』(KADOKAWA)

ネットネット株とは、アメリカの投資家ウォーレン・バフェットの師匠に当たる人物、経済学者ベンジャミン・グレアムが提唱した投資方法です。一言でいうと、企業の流動資産(現金など)から負債総額を引いた額の3分の2が時価総額より多い銘柄が、ネットネット株ということです。

これは、企業が所有する正味流動資産に対して、株価のほうが下回っているということになります。つまり、その企業は株式市場では過小評価されているということで、この手の銘柄はそれ以上、株価が下がる可能性が低いことが最大のメリットです。

値動きの激しい銘柄を取引するときのような大きな利益を得ることは難しいですが、その半面、価値も下がりにくいので、堅実に投資していきたい人にはおすすめの方法です。かぶ1000さんは、まさにこの手法を用いることで元手の40万円を2.5億円超にまで増やすことができたのです。

「スーパーで食品か何かを買うとき、たいていの人は安い商品を選んで買いますが、それが株となると、みんな騰がり始めたときに買うのが不思議でなりません。スーパーを何軒か回って安い商品を探し出すように、おトクだと思える銘柄を着実に買っていけば、絶対とはいわないまでも損をすることは少ないでしょう」

値動きの激しい銘柄はハイリスク・ハイリターンですが、ネットネット株を含めたバリュー株はローリスク・ミドルリターンといえるでしょう。もし、あなたが億万長者を目指すわけではなく、ちょっとした副収入として株を売買しているなら、バリュー株投資を検討してみてはいかがでしょうか。

有価証券を持っている会社に投資する

かぶ1000さんはバリュー株を3つに分類しています。1つ目は前述した基本的なネットネット株であるかどうか。会社の持つ現金資産より株価が安いなら、そこから騰がる可能性を期待するのです。

2つ目は、資産を有価証券で持っている会社の株です。かぶ1000さんが持っている昭栄薬品(3537)は、花王(4452)の株を69万株保有しています。現在の時価評価で計算すると、昭栄薬品を1000株買うと花王の株を600株ほど持つ計算になります。これなら花王株を買うより昭栄薬品株を買ったほうがお得です。資金が豊富なら普通に花王を買ってもいいかもしれませんが、もし少しでも節約して投資したいなら、このような方法も検討する価値があるといえるでしょう。