1月22日の自民党両院議員総会。安倍晋三首相は出席した衆参国会議員の前で、改憲について「いよいよ実現する時」と初めて表現した。安倍首相からみれば、今回の憲法政局は11年前のリベンジだ。一方、反対勢力の中心は立憲民主党の枝野幸男代表。役者は11年前と同じ。改憲論議はどんな結末を迎えるのか――。
2017年11月1日、衆院本会議で首相指名を受け、あいさつ回りで立憲民主党の枝野幸男代表(左)と握手する安倍晋三首相。(写真=時事通信フォト)

11年前の「デジャビュ」のような改憲論議

1月22日、国会が召集され、2018年の国会論戦が始まった。ことしの政治は、安倍晋三首相が血道を上げる憲法改正をめぐる論争が最大のポイント。改憲勢力と、改憲に反対の勢力のせめぎ合いが中心となる。

安倍首相は、年内の改憲発議を目ざして自民党にゲキを飛ばす。かたや反対勢力側からは昨年の衆院選で躍進した立憲民主党の枝野幸男代表が、それに真っ向から立ち向かおうとしている。しかし、この光景。どこかで見たような……。

そう、2007年、今から11年前、第1次安倍政権の時。デジャビュ(既視感)ともいえるようなことが起きていた。本稿では、今の政治情勢と11年前を比較しながら今年の改憲論議の行方を占ってみたい。

改憲を「いよいよ実現する時」と表現

「わが党は結党以来、憲法改正を党是として掲げ、長い間議論を重ねてきた。私たち政治家は、それを実現していく大きな責任がある。いよいよ実現する時を迎えている。その責任を果たしていこうではないですか」

1月22日の自民党両院議員総会。安倍首相が語気を強めて語ると、出席した衆参国会議員から拍手が上がった。改憲を「いよいよ実現する時」と表現したのは、これが初めてだ。

安倍首相は1月4日、三重県伊勢市で行った年頭会見でも「今年こそ、憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的な議論を一層深めていく。自民党総裁として、そのような1年にしたい」と語っている。今年に入ってからフルパワーで改憲に走っている。「いよいよ」「今年こそ」という言葉からは18年中に大きく動かそうという決意が伝わってくる。

これまで安倍首相は、胸の内では改憲に強い意欲を見せながらも、言葉では「自民党に任せる」という表現を貫いてきたが、今年に入って「党総裁」として自ら陣頭指揮をとる考えを隠さなくなったのだ。