「幸せになる」ためのお金の使い方とは、どんなものでしょうか。英ケンブリッジ大学らの調査によると、「性格」によって幸福度が増す消費項目は異なります。行政書士で富裕層の金森重樹氏は「他人との比較優位を考えてお金を使っていると、いつまでも幸せにはなれない」といいます――。

じゃぶじゃぶお金を使っても幸福にはなれない

「お金は稼ぐよりも使うほうが難しい」といわれます。たいていの人は財を成すと地位財の追求(後述)に走り、結果的に散財することが多い。だからこそ、お金の哲学が必要なのです。

写真=iStock.com/Courtney Keating

本連載では、「幸福度が増すお金の使い方」を考えてきました。人生の目的はお金を稼ぐことではなく、幸せになることであるとすれば、その重要性をどんなに強調しても強調しすぎるということはありません。

人のお金の使い道は大きく「地位財」と「非地位財」の2つに分けられます。

 

●地位財=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの
(例:所得、社会的地位、車、家など)

●非地位財=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの
(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)

▼「競争的消費から脱出しないかぎり幸せになれない」

単純にわければ、地位財は収入・家・車など「物質的」な財で、非地位財は休暇・旅行・パートナーとの交流・健康など「非物質的」な財です。これまで地位財、非地位財に関するわかりやすい資料や書籍が見当たらなかったのですが、先日、僕が監訳した『幸せとお金の経済学』(ロバート・H・フランク著)は、その解説に最適です。

本書の内容は、袖にある一文に凝縮されています。

「無意識のうちに参戦している不毛な競争的消費から脱出しないかぎり、私たちは誰一人幸せになれない」