心理学に基づく症例分析によれば先延ばしをする人のタイプは大きく6つにわかれ、かつ誰でも必ず当てはまるという。解決のための第一歩は自身のタイプを把握すること。対人心理学の専門家がタイプ別グズの裏心理と根本治療のための処方箋を解説する。

大量の仕事で忙殺されているのに、まわりに助けを求めず一人で抱え込んでしまう。あるいはすでに身動きが取れない状態なのに、仕事を頼まれると安請け合いして自滅する。これが抱え込みタイプによく見受けられる症状です。

人間の能力は有限です。にもかかわらず、抱え込みタイプは自分のキャパシティ以上に仕事を請け負うため、限界を超えた仕事については遅れがちになります。量の問題だけではありません。さまざまな種類の仕事を抱えれば、優先順位を付けるのが難しくなり、重要な仕事を後回しにして失敗することもあります。

では、なぜこのタイプはキャパシティを超えてまで仕事を抱え込んでしまうのか。それは、自分には存在価値がないと思い込んでいるからです。劣等感の裏返しとして、けっして弱音を吐かない自分や依頼を断らない優しい自分を演じて、まわりに自分の存在価値を認めてもらおうとしているのです。

抱え込みタイプは、人に嫌われることを極端に恐れ、自分の欲求を抑え込みます。自分の欲求に素直でときに敵をつくりやすい「根拠のない自信家タイプ」とは、まさに対極の位置にいるといえます。

実際、このタイプは八方美人ゆえに、まわりと比較的良好な人間関係を築いています。しかし、それもグズが表面化するまでの話で、依頼した仕事が間に合わなかったり、間に合わせるための手抜き仕事であることがバレると一気に信頼を失います。皮肉なことですが、まわりに認めてもらおうとして頑張れば頑張るほど、逆の結果を招くのです。