2019年、ラグビーワールドカップが日本で開催される。前回大会で日本代表が強豪の南アフリカを破ったことで、ラグビーの人気も高まりつつある。東芝の元社長で、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会の岡村正会長は「スポーツは勝たなければダメ」という。どういうことなのか。イーオンの三宅義和社長が聞いた――。(前編、全2回)

ラグビーが持つ紳士的側面が見る人を魅了する

【三宅義和・イーオン社長】2019年に日本でのワールドカップ開催を控え、ラグビーを取り巻く環境は非常に盛り上がってきたと思います。私もラグビーファンとして楽しみにしているところです。そこで本日は、日本ラグビーフットボール協会の岡村正会長をゲストにお迎えしました。前回2015年のワールドカップでは、南アフリカを破りました。あれは感動的な勝利でしたね。

【岡村正・日本ラグビーフットボール協会会長】そうですね。ラグビーに限らず、スポーツは勝たないとダメですね。昨年11月に行われたオーストラリアとのテストマッチは、やや不甲斐なかった。前半だけで5トライを奪われ、3対35と大きくリードされてしまいました。後半に盛り返しましたが、30対63で破れてしまいました。

三宅義和・イーオン社長

【三宅】私も観戦しましたが、客席も後半は特に盛り上がりました。観客は4万3000人超だったそうですね。

【岡村】テストマッチでは過去最高の観客動員数で、協会としても本当にうれしかったですね。

【三宅】そうはいっても、まだラグビーというゲームをあまり知らない人もいるかもしれません。岡村会長は東大のラグビー部出身だとお聞きしています。ラグビーというスポーツの魅力は何でしょうか。

【岡村】ラグビーは1チーム15人で戦うのですが、1つの戦略のもとに全員で攻撃し、全員で守る。要するに、攻守すべてに責任を持って、自分のポジションにおける仕事を達成しなければなりません。またラグビーには紳士のスポーツという側面があります。英語では「integrity(インテグリティ)」。これはラグビー憲章の最初に出てくる言葉で品位ということですが、ラガーマンにそれが求められます。この2つが大きな魅力なのではないでしょうか。

私の学生時代、東大はそれほど強いチームではありませんでした。そこで、全員で「タックルだけはきちんとやろう」と決めたのです。それを徹底して、周囲から「タックルの東大」と呼んでもらえるようになりました。

そもそも私が入学した年に東大は全敗でした。すると、2年目にキャプテンが「このままではラグビーをしている価値がない」と言い、自分たちと同じレベルの大学3校を選んで、「ここには絶対勝とう」と誓い合いました。そして、そのための戦略を練った。「ここと戦う際には、こうしよう」と1人ひとりの役割を決めて立ち向かい、3勝できました。

【三宅】素晴らしいですね。

【岡村】それは、やはり戦略が正しかったということと、その戦略に応じた個々人のスキルを上げる努力が実ったことの両方だと思っています。そういう意味で、全員が一丸となれるスポーツなのです。ラグビーは1人だけ卓越したプレーヤーがいたとしても勝てません。