恋愛、結婚、離婚、再婚、婚活、不倫……。世は変われども、男と女のいさかいが尽きることはありません。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏のもとには、そんな泥沼状態を抜け出そうと、毎日多くの相談者がやってきます。その痛切なトラブルエピソードを、ぜひ他山の石としてもらえればと思います。
第4回は、何の基礎知識を持たずに離婚に踏み切り、大ダメージを負ってしてしまった男性たちの事例を紹介します。前編は「慰謝料」「婚姻費用」に関するエピソードを、また後編は「養育費」「親権」「子供との面会」に関するエピソードをお届けします――。

なぜ、3月と12月に離婚が多いのか?

突然ですが、1年で最も離婚が多いのは何月だと思いますか。

*写真はイメージです(写真=iStock.com/edge69)

正式な統計調査はありませんが、男女問題研究家として今まで1万件を超える離婚相談にお応えしてきた私の経験則では、「3月」です。なぜでしょうか?

例えば、夫婦の間に子供がいて、妻が子供を引き取る場合。ほとんどの妻は旧姓に戻します。妻が夫に対して恨みを抱えていれば、なおさら。「旦那の名字を使うのはむしずが走るわ!」などと言う人までいて、子供にも当然、自分の旧姓を名乗らせることが目立ちます。

子供の名字が変わると、同じ学校、同じ地域、同じ塾などの友達・仲間はこう無邪気に尋ねるでしょう。「なんで上の名前が変わったの?」と。どうやら親が離婚したらしい、という事実が発覚すると、差別や偏見の対象となり、いじめの原因となることもあります。

そうしたリスクを小さくする方法があります。それは「3月に離婚すること」です。

3月中に離婚して新しい地域に転居。4月の新学期から新しい学校に転校するのです。名乗るのは妻の「旧姓」で、離婚の事実を知られる可能性は低くなる。だから年度末の「3月」に離婚が多いのです。

▼「離婚するなら年末年始」納得の理由とは?

3月の次に離婚が多いのは「12月」です。結婚同様に離婚も、夫と妻だけの当事者だけで最終判断をすることは難しく、互いの実家に「おうかがい」を立てねばならないケースがあります。年末年始はそうした会合にちょうどいいと判断され、12月は離婚が増えるようなのです。

去年までは笑顔で「本年もお世話になりました」「明けましておめでとうございます」とあいさつしていたのに、今年に限っては、しかめっ面で「そっちのほうが家柄は下なんだから孫のことはあきらめろ!」「貸してやった家の頭金は耳そろえて返してもらうからな!」「『娘さん幸せにします!』って結局、ウソだったんだな?!」と、ののしり合うこともあるのですから、皮肉なものです。