離れた場所で暮らす老親を見守る方法

親が高齢になると、いくら元気だといっても1人暮らしをさせておくのは心配だ。私自身、母が離れた場所で1人暮らしをしているため、その気持ちは痛いほどわかる。年齢的に、いつ何時体調が悪化するかわからないし、転倒などで骨折をすれば動けなくなってしまうこともある。また、「振り込め詐欺」や悪質な訪問販売、代金引換配達等で勝手に商品が送られてくる「送りつけ商法」など、高齢者を狙った犯罪も多い。

写真=iStock.com/fotojog

そんなときに利用したいのが「見守りサービス」と「緊急通報サービス」だ。

前者は、いつも通り生活しているか確認するためのもので、後者は、緊急事態が発生したことを知らせるためのもの。多くの自治体で導入している「緊急通報システム」なら、比較的安価で導入しやすいだろう。

これは、消防署や民間の業者と提携し、緊急時に高齢者が通信機の緊急ボタンを押すと、スタッフが救援等に向かってくれる。必要な場合は、協力者や家族に連絡も来る。親の状態や希望によって、必要なものを選んだり、組み合わせて利用したりするといいだろう。

専属のコミュニケーターが毎週決められた時間帯に電話

元気な親でも、「見守りサービス」を利用すると安心感が増す。テレビのデータ放送や携帯電話、電気ポット、ガス、電気、水道、郵便など、生活するうえで必要なインフラを利用した「見守りサービス」が年々広がっている。仕組みはさまざまだが、基本的には無線通信機器を内蔵した製品を使用すると、その情報がネット経由で離れた場所に住む家族のパソコンや携帯電話に伝えられるというものだ。

たとえば、象印の「みまもりほっとライン i-pot」はその典型。専用の「i-pot」でお湯を沸かすたび、家族に情報が伝えられ、1週間の使用状況もグラフで確認することができる。いつもより著しく使用量が減っている場合、「寝込んでいるのかもしれないな」などと察して、大事になる前に連絡できるだろう。

オペレーターからの電話や訪問など、コミュニケーションを含んだものもある。たとえば、こころみの「つながりプラス」は、専属のコミュニケーターが毎週決められた曜日の決められた時間帯に電話をかける。初回の電話の前には日本全国どこへでもコミュニケーターが訪問し、「顔見知り」になるので、親も本当に「見守られている」と感じられるのではないだろうか。