港区・六本木交差点から徒歩3分。創業安政3(1856)年の和菓子店がある。その名は「麻布 青野総本舗」。祝い事といえば、紅白饅頭がポピュラーだが、大切な人の昇進や就任祝いには、もっとサプライズ感のある饅頭を贈るのも手。そんなシーンで「青野」の「五彩万頭」が力を発揮する。
切ると五色の彩が表れる美しい断面。緑の部分も饅頭の皮で、一度、蒸しあげた饅頭を再度、あんと皮で包み仕上げていく。手のかかっている逸品だ。

それは、和菓子界の高級甘味

特別な人に、特別に祝う気持ちを手土産に込めて相手に伝えたい――。そんなときは、薯蕷(じょうよ)饅頭を差し上げてはいかがだろう。「薯蕷」とは粘りのある山芋類のこと。山芋を使った皮で餡を包む、シンプルな蒸し菓子だ。

上用粉(粒の細かい米粉)を加えることから「上用饅頭」と表記されることもある。上に用いる、つまり「高級な饅頭という意味を込めたあて字」とする説もあるようだが、その真偽はさておき、実際、和菓子界の高級甘味として位置づけされている。

手がたく紅白の薯蕷饅頭を渡す手もあるが、印象に残るものを贈りたい場面でおすすめなのがこちら。創業160年を超える老舗「麻布 青野総本舗」(東京都港区、以下「青野」)の「五彩(ごしき)饅頭」である。賞味期限は、製造から3日あるので使い勝手もいい。

40年前に完成した「華やかな」饅頭

見た目はピンポン玉サイズのなんの変哲もない真っ白な饅頭なのだが、切れば「おっ!」とびっくり。雅な色合いの5色の層が現れる。

「華やかなお饅頭をつくりたい。そんな想いで、私の父が40年ほど前に創作しました。日本古来の色で、陰陽五行説で縁起がいいとされている五色、白、紅、緑、黄、黒を落とし込んだお菓子です」

そう語るのは、6代目社長の青野輝信さん。華やかなものを目指しつつも、外見でそれを表現しなかったのは、なんとも奥ゆかしく、遊び心溢れる一品だ。

5層の内容は次のとおり。中心の黒は、ほどよい甘さのこしあん。黄色は、白いんげん豆でつくった白あんに、卵黄を混ぜた黄味あん。青野では、裏漉しした栗を加えて風味よく仕上げている。この2つのあんを緑色の生地で包んで、一度蒸し上げる。

そうして出来た緑色の小さな玉を、紅色に染めた白あん、まっ白な生地で順にくるみ、再び蒸したら完成だ。