小池百合子氏が希望の党代表を辞任した。旗揚げから約50日。衆院選では235人を擁立しながら当選は50人。党勢の衰えは明らかだ。代表辞任について、朝日新聞と毎日新聞の社説は、小池氏の「身勝手さ」を厳しく批判している。一方、読売は「唐突さは否めない」としながら、希望の党は評価する。その背景とは――。
朝日新聞の社説(11月15日付)。見出しは「小池代表辞任 一連の騒動は何だった」。

あれからわずか50日しかたっていない

「国政はお任せして私はみなさまをサポートします」

「希望の党」の執行部を決めた11月14日夕方の両院議員総会。その席で東京都知事の小池百合子氏はこう話し、党代表の辞任を表明した。

小池氏が「日本をリセットします」「私自身が立ち上げる」と希望の党の設立を公表したのは9月25日だった。あの日、安倍晋三首相も衆院解散を表明した。小池氏側の新党設立が進んでいないとみて、「解散のチャンス」と判断したといわれる。

しかし、勘と度胸の小池氏は、安倍首相の判断を逆手にとって、希望の党の設立を世の中に示した。考えてみると、あれからわずか50日しかたっていない。

追い風はすっかり逆風に変わった

それなのに小池氏に対する追い風はすっかり逆風に変わってしまった。10月22日に行われた衆院選の結果は悲惨なもので、擁立した235人のうち、議席にとどまったのはわずか50人だけだった。

衆院選直後、小池氏は「完敗」と認めながらも「今後の党運営には責任を持つ」と党代表を続ける決意を示していた。

ところでマスメディアの大半は、小池氏に逆風が吹いた理由を「排除の論理」にあるとみている。実際、民進党との合流が浮上した際、憲法改正や安全保障政策で考え方の違う民進党員を「排除する」と発言したことに批判が集まり、その直後から小池旋風が衰退していった。

しかし沙鴎一歩はあのときの小池氏の判断は正しかったと思う。政治的にその思考が180度違うメンバーを迎え入れていたのでは、政党として成り立たないからだ。

「あきれる人も多い」と書く朝日

辞任表明の翌日の15日付の朝日新聞の社説。その見出しは「一連の騒動は何だった」である。一見すると、客観的に思えるが、朝日らしい嫌みがにじんでいる。

朝日は小池氏が希望の党を立ち上げたときからかなり批判的だった。小池氏の勢いが衰えると、その批判をさらに強める。強者が弱者に落ちぶれると、いじめたくなるのが人間の心情なのだろう。

ただし小池氏は都知事という大きな権力をまだ握っている。その意味では新聞社説で批判されてしかるべき存在ではある。

朝日社説は書き出しもきつい。

「旗揚げからわずか約50日。一連の新党騒動は何だったのか。あきれる人も多いだろう」

朝日社説の指摘のようにあきれる人は多いのか。沙鴎一歩はそうは思わない。朝日社説はこう続ける。