NTTドコモやSBI証券など4000超のサイトをサイバー攻撃から守っている企業がある。社長は27歳。学費を稼ぐために16歳からビジネスをはじめ、それ以来次々と新しいビジネスに挑んでいる起業家だ。直近の事業は弁当屋。なぜサイバーセキュリティの分野に挑戦したのか。ジャーナリストの田原総一朗氏が聞いた――。
ジャーナリストの田原総一朗氏とサイバーセキュリティクラウド代表取締役の大野暉氏

学費を稼ぐために16歳でビジネス開始

【田原】大野さんは16歳のときに初めて会社をつくった。何の会社ですか。

【大野】広告代理店の下請けで、若者を対象に市場調査をしたり、マーケティング支援などをやっていました。

【田原】昔から自分で起業しようと思っていた?

【大野】いや、起業したくて会社をつくったわけじゃないんです。じつは高校には学費を借金して行っていました。学費は年間110万円。ラーメン屋でバイトしていましたが、月7万~8万円の収入ではとても返せない。ほかにも何かやらなきゃと。

【田原】その会社は稼げたんですか。

【大野】はい。いいときで売り上げが年間2000万円くらいでした。

【田原】そんなに! 18歳でまた新しい会社をつくりますね。次は何を?

【大野】環境事業です。具体的には、大企業が排出するゴミを管理するシステムを販売していました。当時、ゴミは総務の人が表計算ソフトを使って手作業で管理していました。それを簡単にしてあげるクラウドの製品をつくって売っていました。従業員は15人くらいいましたね。

【田原】大学行きながらですよね。

【大野】はい。18~20歳のころです。その後、私は別のことをやりはじめましたが、事業自体はしばらく存続させて、ぜんぶで5年続きました。

【田原】別のことって何ですか。