「“負け嫌い”同士が集まった」

自動車産業を巡る市場環境が急激に様変わりしている中、マツダの小飼雅道社長が相次いで決断した2つの「生き残り戦略」が注目されている。

1つはトヨタ自動車との資本提携。経営の自主性を尊重しながらもお互いに株式を持ち合うことで、電気自動車(EV)などの次世代技術の共同開発や米国での新工場の建設を円滑に進めるためだ。

小飼社長も「“負け嫌い”同士が集まり、相互に刺激を与えながら、イノベーション(技術革新)をリードして、クルマファンの拡大に寄与したい」と述べて「それにはトヨタとの協業が不可欠で、中長期的で継続的な提携に持っていくことが必要」と強調する。

次世代エンジンの投入計画を発表

マツダ社長 小飼雅道氏(AFLO=写真)

そして、もう1つの決断は、得意分野のエンジン技術の向上に磨きをかける「長期ビジョン」を打ち出したこと。

この先もしばらく動力源はガソリンやディーゼルなど内燃機関が主流とみて、その抜本的な改善に取り組むことが温室効果ガスの削減に最も効果的だと判断。世界初の高度な燃焼技術で燃費性能を現行より3割ほど高めた次世代エンジンの「SKYACTIV-Ⅹ」を2019年に投入する計画も発表した。

小飼社長は「燃費はガソリンエンジンとして世界一」と太鼓判を押す。

マツダは20年に創立100周年を迎える。世界的な環境規制の強化でクルマの電動化に向けた技術開発の流れは加速しているが、次の100年に向けて持続的成長を目指しながら「ぶれない経営」を貫けるか。就任5年目、強い信念と使命感に燃える小飼社長の突進力が改めて試される。

マツダ社長 小飼雅道(こがい・まさみち)
1954年生まれ。77年東北大工学部卒、東洋工業(現マツダ)入社。主に生産畑を歩む。タイのオートアライアンス社長、マツダ専務などを経て2013年から現職。
(写真=AFLO)
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