十分な収入があっても、貯金ゼロの人がいる。なぜ貯められないのか。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんによれば、「貯蓄額には100万円、500万円、1000万円の壁がある」という。3つの壁を越えるには、どのような戦略が必要なのか。まずは第1ステージ「U-100万円の壁」を突破する方法とは――。

やみくもに貯めてもダメ 貯め方にはステージがある

この連載では「あなたとお金の生存戦略」をテーマにしていますが、今回は「貯め方のステージ」を考えてみたいと思います。

「お金を貯める方法」はその時の収入や生活環境などにより異なります。貯め方にはいくつかのステージがあり、それぞれ上手に貯めるためのコツと戦略があります。

■貯める第1ステージ「U-100万円の壁」

まず第1ステージとなるのが、「貯金ゼロから資産100万円」です。これを「U-100万円の壁」と名付けます。

貯金ゼロから100万円までお金を貯めるということは、稼いだお金と使ったお金との差が100万円あったということです。仕事を始め、年収の累計が1000万~2000万円に達する頃になると、100万円を貯める余裕が生まれる人が多いようです。

「U-100万円」のステージにおいて、大事なこと。それはムダな消費をなくすことで、月の支出へ減らしていくことです。小さな「黒字額」を積み重ねて「100万円」に近づけるのです。貯金は泥臭くコツコツやるしかありません。このことを理解できない人は、30代以上になってもなかなか「U-100万円」のステージを突破できないでしょう。

▼「自動引き落とし」「給与天引き」は王道

節約以外に、100万円を貯めるために有効的なのは「自動引き落とし」「給与天引き」のシステムです。強制的に一定額を積み立て、取り崩すには面倒な手続きがともなう口座を活用します。天引きされることで給与が振り込まれた時点で、月の支出額にちょっと足りない厳しい状況を自ら作る。すると、日々の節約意識をより高まります。自分を追い込むのです。

財形貯蓄(一般)は、給与天引きでお金を貯める王道の手法です。会社に財形制度があればこれを活用しましょう。給与振込口座としている銀行で積立定期預金を行うことも効果的です。最近ではオンラインバンキングの口座から申し込みもできますので、給与振込日の翌日あたりに「引き落とし日」を指定するといいでしょう。

証券口座を開設し、銀行ないし証券会社に積み立て投資(投資信託を買う)をするのもいい方法です。こちらは解約が面倒になる分、できるだけ続けようという気になります。

また、キャッシングやリボ払いをする習慣がある人は100万円の壁をまずクリアできないと思ったほうがいいでしょう。そんな緩い気持ちでは100万円は永遠に貯まりません。の100万円の壁を乗り越え、次のステージに行く人のほとんどはリボ払いや消費者金融、銀行系カードローンなどを利用していません。