「お墓は永遠の存在」……そう考える人は多い。しかし、自分のお墓は100年後、200年後も間違いなく子孫に守られているのだろうか? お墓をめぐる考え方は、この50年で大きく変わりつつある。墓地の倒産や無縁墓の増加など、“お墓の終わり”を意識せざるをえない現実が広がっているのだ。
横浜霊園(筆者撮影)

倒産しながら17年以上存在している墓地がある

横浜横須賀道路の朝比奈インターチェンジ近く、横浜市栄区の山地に斜面を切り開いて作った「横浜霊園」をご存じだろうか。1969年にオープンした市内最大の墓地で、24万5000平方メートルの敷地には、約2万基の墓が立ち並ぶ。お盆やお彼岸のシーズンは毎年多くの墓参客でにぎわうが、実はここは精算手続きに入った状態が17年も続いている。いわゆる“倒産墓地”だ。

横浜霊園を経営していた財団法人日本霊園は、バブル期のゴルフ場開発などの負債がたたって経営が悪化し、1999年に財団法人としての設立許可を国から取り消された。間もなく法人は清算人に手渡されたが、墓地の清算は難航している。

墓は所有者の許可なく動かすことはできず、持ち主が途絶えても簡単には閉じられない。園内の土地を切り取って売却するのは現実的ではなく、清算中は空いた区画を墓として販売することもできない。債務者との交渉で負債を圧縮していくしか手だてがない状態だ。

今でも、およそ4割の区画からは管理料が定期的に振り込まれるので、それを元手にどうにか状態を保っているが、大規模な修繕は難しい。墓園の境界の一部に崖崩れが起きて仮養生をしたままになっているなど、実際にほころびも散見される。日本霊園は「前向きに事が進んでいる」と回答するが、いまだ6億円以上の負債が残る状態だ。

横浜霊園の内部。崖崩れして仮養生した箇所が複数みられる(2016年、筆者撮影)