「タイトル力」を高めることは、プレゼン資料やメールなど、日々の仕事の成果に直結する。では、目を引くタイトル作りのコツとは何か? ネットニュース編集者として毎月1000本以上の記事にタイトルをつけるという中川淳一郎氏に聞いた――。

「読みたい」と「伝えたい」の比率が重要

10年以上ウェブ編集者として活動してきましたが、「会心のタイトルをつければ記事へのアクセス数は30~50%ほど伸びる」と感じています。それほどタイトルの影響は大きいわけです。

タイトルには本文中の言葉を使うのが基本ですから、内容を面白くする必要があります。そのために重要なのが「65対35の法則」。これは、読み手の「読みたい情報」が65%、発信者側の「伝えたい情報」が35%になるように意識せよ、ということです。企業のウェブサイトに特に言えることですが、この比率が少しでも「企業寄り」になると、面白さが欠け興味を持たれないものになってしまいます。

それらの前提を踏まえたうえで、私が考える「目立つタイトル」を作るためのポイントは、「読み手を楽しませる」「効果的なキーワードを使う」「怒られない」の3つです。ウェブ編集者の経験則から編み出した法則ですが、根本的な考え方はすべてのタイトル作りに通じるでしょう。それでは早速、反響のあったタイトルの具体例と併せて解説していきます。

読み手を楽しませるには?

「ポッキーのチョコなし部分 アイディアの源泉は大阪の串カツ」

タイトルを作るときにまず考えるべきは、読み手を楽しませること。感心したりクスッと笑ったりといった、ポジティブな反応を引き出すことを心がけます。

ビジネス系の記事で言えば、左上の「ポッキー」の見出しはなかなかいい反応を得られました。

「えっ、ポッキーと串カツ?」と意外性がウケたこと、地名を入れたことで大阪の人が喜んでクリックしてくれたことが要因でしょう。サービス精神を発揮し、「この属性の人は面白がってくれるだろう」と読み手の反応を想像することが大切です。

この例では見出しで結論を言っていますが、たとえば「猛暑になると売れなくなるアイスとは?」のように答えを隠して好奇心を刺激するのも一つのやり方です。

「~か」「~の理由」のように、クイズを出されると答えたくなるのは人の性さがですからね。私なりの基準ですが、少し考えたら予想できそうな答えは隠し、意外すぎる答えは見出しに入れるようにしています。

最近では、「神ってる」が流行語大賞に選ばれた広島カープ・鈴木誠也選手の夜遊びスクープ記事、「広島・鈴木誠也、路上で美女の胸を『揉みってる』写真」はウケると確信を持ってつけた例です。案の定、下世話なネタが好きな人だけでなく、広島ファンにも面白がられた。「モミー」というあだ名がついたり試合のたびに蒸し返されたりと予想外に広がり、タイトルの力を再確認しましたね。