不倫なんて家庭で厳しい制裁を受ければ十分だけど

民進党衆議院議員・山尾志桜里さんの不倫騒動で世間は大いに賑わっている。

「男女の関係がないなんて下手な嘘をつくな!」「不倫問題と政治家の能力は別だ!」「今回の騒動は山尾志桜里潰しだ!女性政治家潰しだ!」「山尾氏のこれまで言ってきたこととやっていることが全然違う!」

まあいろいろなことが言われている。僕は男女の問題と政治家の能力は別問題だという考えだ。もっと言えば、政治家は道徳家とは異なるので、政治家に道徳的な立派さを求める必要はない。道徳的にはどうしようもなくても政治家として社会の課題をしっかりと解決してくれたらそれでいいというのが僕の考え。特に不倫の問題なんて、当人らの家族の中で厳しい制裁を加えられれば十分で、世間がとやかく言うことではないというのが持論。これは世間的には少数説だろうけど(笑)

山尾さんとその相手男性の本人たちが男女の性的関係を否定し、誰もその現場を目撃していない以上、男女の性的関係があったかどうかを周りがとやかく言っても仕方がない。男女の性的関係は週刊文春で報じられた事実から「推測」するしかない。さらに政治家に道徳的立派さを求めるかどうかについては人それぞれの考えがある。ここは以前メルマガで論じた「立場・価値観の違い」というもので、論理的正当性を追求するものではない。政治家に道徳的立派さを求めるか否か、どちらの立場に立つかだけの話だ。ゆえにこの《問題解決の授業》では、山尾さんとその相手男性の男女関係の有無や政治家の不道徳性を追及することに力は割かない。

ということで、ここでは今回のような“文春砲”を受けた時に、山尾さんたちはどう対応すべきだったか、いつもの危機管理の視点で検討していきたい。

森友学園問題、加計学園問題、陸上自衛隊日報問題における日本政府の対応について、これまで危機管理論を散々論じてきた。もっとも重要なのは謝罪だとね。

安倍晋三首相も内閣支持率の急落に伴い、まずやったのは国民への謝罪。テレビカメラの前で8秒間、国民に対して頭を下げた。これは国民の共感を得たと思う。ただしその後の日本政府の対応は相変わらず不十分。きちんと謝罪をしたなら、なおさらその後の態度で示さないとかえって支持を失ってしまうということも論じた。

この謝罪については、心を込めて行わなければならないという精神論は当然のこととして、最も重要なことは、「誰に対して」「どの順番で」行うのかということ。これは言われれば、そんなことは当たり前の話だと思うけど、スキャンダルが勃発してパニックに陥っているときにはなかなか冷静に判断できないんだよね。

謝罪の順番については、「最も傷ついている人たちから、しっかりと謝罪を行っていく」というのが鉄則。ほんとこうやって言われれば当たり前のことだけど、この鉄則をしっかりと頭に入れておくことが、スキャンダルが勃発してもパニックに陥らない黄金の術なんだ。