ロイター/AFLO=写真
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内閣官房長官 仙谷由人(せんごく・よしと)
1946年、徳島県生まれ。68年、東京大学在学中に司法試験に合格。71年から弁護士活動を開始。90年、衆議院初当選。鳩山内閣で内閣府特命担当大臣を経て、2010年6月、菅内閣で官房長官に就任。


 

今では菅直人総理の女房役だが、実はこれまで仲がよかったわけではない。2004年、当時民主党代表だった菅氏に年金未納問題が発覚したときは「菅おろし」をリード。翌年、「菅vs前原」の代表選挙では前原支持で多数派工作を行い、菅氏を敗北に陥れた。

今回、菅氏との連携を可能にしたのは剛腕・小沢一郎氏の存在である。仙谷氏は「強すぎるリーダーシップ」を嫌う。民主党内で小沢支配が広がってからは「反小沢」の急先鋒だ。「反小沢シフト」である菅内閣の大黒柱として官房長官に起用された。

初当選は1990年、社会党からのスタートだ。政局や選挙より政策論議を好む点は社会党の遺伝子といえよう。弁護士出身で法律に詳しく、政策にも精通する論客だ。93年に落選するも、民主党から96年に復帰。しかし、02年に胃がんを患い、それ以降、表には出ずに、参謀役に回ることが多い。

枝野幸男氏や蓮舫氏が主役を演じた「仕分け作業」も、実は仙谷氏のアイデア。菅政権発足直後に、荒井聡大臣の事務所費問題が新聞に出たときは、すぐさま知り合いの記者たちに「慎重に報道したほうがいい」と直接電話して鎮静化を働きかけた。

水面下で舞台回しをする老獪さからは、かつての自民党にも通じる「古さ」を感じる。マスコミはもちろん、近い議員にもめったに本音を漏らさない。

「策士だから、味方になってもいつ寝首をかかれるかわからない」と菅グループのベテラン議員は警戒する。

今はただ、「反小沢」の一点で菅氏との協力関係が成立している。徹底的に共同戦線を貫くか、それでも支持率が上がらないならニューリーダーを模索するか。微妙な協力関係が崩壊すれば、本当に菅氏の「寝首をかく」かもしれない。

(ロイター/AFLO=写真)