人事部の採用担当は「いい学生が採れない」と嘆く。社会構造の変化は企業に多彩な人材、能力、スキルを求めている。今、企業で昇進できる人材の条件を人事部が語りつくす。

不動産アメリカのように学生時代に企業のインターンシップを行い、本人も働く意思があり、会社もほしいとなれば、学生でも入社することがあってもいい。インターンシップなどを通じて優秀な人材を随時確保できれば、採用コストも圧縮できる。

化学政府は「雇用、雇用」といい、新卒採用枠を卒業後3年までに延長するようなことを言っている。働く意思のある人、能力のある人は自ら企業に売り込むべきで、もし制度をつくれば、卒業しても3年間は新卒で採ってくれると安心して、逆にモラトリアムに陥ってしまう。

IT今、意識的に採ろうとしているのはリーダーシップのある人材だ。スペシャリティも大事だが、その中でもリーダーシップが発揮できそうなタイプがほしい。先行きが不透明ななかでビジネスを変革したり、新しいものをつくれなければ企業の成長はない。それをリードしていく人材を積極的に採用したい。

流通リーダーシップのある人材はうちもほしいが、見極めるのはなかなか難しい。人事担当者はそれぞれ独自の見極め方を持っているだろうが、僕の場合、表現は難しいが22~23歳ぐらいまでに「何かを背負った経験がある人」に着目している。たとえば、新党さきがけの代表だった武村正義氏は旧自治省の面接官だった後藤田正晴さんが、すでに妻子がいるということで採用したらしい。それに近いイメージだ。たとえば田舎から期待を背負って上京した人、あるいは体育会系にしても大学4年間を通じて大学の名誉や名声を汚さないように背負ってきた人でもある。つまり、追い詰められながらも結果を出していかなければならない経験を積んだ人ということだ。

サービス同じスポーツでもサークルの幹事なんてどうでもいいし、ゼミ長もたいしたことはない(笑)。最初からハンディを背負ってチャレンジする人だ。でもそういう学生っている?

流通なかなかいないね(笑)。

化学今、ほしいのはグローバル人材だ。グローバル化に対応するために海外要員の確保と育成に乗り出している。海外経験のある社員をリストアップし、内部で養成すると同時に、新卒も全員ではないが海外で活躍できそうな学生を求めている。海外でのビジネスはある意味で切った張ったの世界だ。自分で考え、行動できる精神的タフさを持った学生がほしい。