著名人の「不倫疑惑」は、いまや毎週恒例のショーとなっている。最近では、ともに俳優の渡辺謙と船越英一郎が渦中の人となった。その代償は大きい。どうすればいいのか。「男を下げた不倫、上げた不倫」について、元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏が考察する――。

3カ月たってから謝罪した渡辺謙

「彼女とは一晩中あっち向いてホイをやってました」

だいぶ前になるが、女性の部屋に泊まったタレントが、朝出てきたところを写真誌に直撃されて、こう答えた。

あれには笑った。たしかにセックスは「あっち向いてホイ」に似てなくはない。こう当意即妙に返されると、不倫という言葉が持つ重苦しさが薄らぎ「明るい不倫」になる。

渡辺謙の「不倫謝罪会見」はそれとは真逆だった。国際的俳優は冒頭、「私の軽率な行動が応援してくださった皆様に多大な心配、ご迷惑をおかけしました」と報道陣の前で深々と頭を下げた。

乳がんの治療中の妻・南果歩が不在の時、自宅に女性を引き入れていた「ニューヨーク不倫」が『週刊文春』で報じられたのは今年の3月末だったが、渡辺は帰国後も沈黙したままだった。

NHKの大河ドラマに出演が決まったことがあるのだろう、不倫発覚から3カ月以上たってようやく人前に出てきた。

会場には女性リポーターが多かった。彼女たちが次々に繰り出す「浮気がばれたのは今回だけ」「奥さんとやり直したいか」「離婚は考えているのか」などの厳しい質問に、苦笑を浮かべながらも、スターとしての矜持を保とうとする渡辺の姿は、ある種の哀しささえ漂わせていた。

不倫してなにが悪い。オレが女房以外の女を愛してはいけないのか。お前たちに答える義務はない。本音ではそう思っていたのではないか。人気商売はつらい。

船越×松居の「“劇場型”夫婦喧嘩」

松居一代という不可思議な女優がいる。還暦になるが円熟、枯淡などという言葉とは無縁の生き方をしている。

子連れで再婚した三歳年下の男は、人気俳優の船越英一郎である。

船越は亡くなった名優・船越英二の息子。松居と結婚するとき、英二は怒り、日本刀を抜いて、女を取るか親を取るかと迫ったそうである。

そうまでして結ばれ17年たった。今、松居はYouTubeに動画をアップして、夫の不倫や不実を大声でなじって世の顰蹙を買っているが、本人は恬(てん)として恥じない。

曰く「ハワイにいる私の親友とデキている」「私が船越にDVしているといいふらしている」「船越は重度の糖尿病で勃起不全」「バイアグラを飲んでも女とデキない」「あいつの頭はカツラで、セックスするとズレてしまう」などなど。これが一度でも愛し合ったことがある男にいう言葉かと、耳を疑う。