毎日の睡眠不足が積み重なると「睡眠負債」となり、命のリスクにつながる。「睡眠負債」を返済するためには、日常的にどうすればいいのか? フジテレビ解説委員の鈴木款氏が、専門家に聞いた――。

※当記事はホウドウキョクの提供記事です。

睡眠不足は肥満につながる

3 Lines Summary
・最適な睡眠時間は個人差がある
・睡眠不足と違って「睡眠負債」は気づきにくい
・間違った寝だめをすると身体に負担がかかる

最近注目されている「睡眠負債」という言葉。毎日の睡眠不足が積み重なると「睡眠負債」となり、命のリスクにつながることが様々な研究から明らかになってきた。

日本人は世界的にみて睡眠が不足していると言われている。

では「睡眠負債」を返済するためには、日常的にどうすればいいのか?

企業向け睡眠改善プログラムを提供している「ニューロスペース」の小林孝徳社長、そして筑波大学で睡眠医科学の研究に携わってきた佐藤牧人氏(現在「ニューロスペース」取締役)に話を伺った。

――まず気になるのが、「睡眠は何時間が最適なのか」ですが?

ニューロスペースの小林社長(左)と佐藤取締役(右)

【小林】一般的に6~7時間と言われますが、これはあくまで平均値です。睡眠は個人差がありますから、3時間で十分な人もいるし、10時間寝ないといけない人もいます。

企業向けの睡眠研修で私がよく言うのは、「自分の適性睡眠時間を知る目安は、起きてから4時間後に眠気があるかどうかです」と。

起きてから4時間後は人間の脳が最も活性化して、集中力が高くなる時間なので、もしその時間に眠気があるとすれば、必然的に睡眠が足りないということになります。

――睡眠不足の健康への影響は?

【佐藤】様々な研究論文によって、疾病リスクが1.5から2倍に上昇することが明らかになっています。疾病とは、がんや糖尿病、高血圧など生活習慣病です。

【小林】また、睡眠不足は肥満につながります。睡眠不足になると、食欲を増進させるグレリンが増大し、レプチンと言う抑制ホルモンが効かなくなりますので、太りやすくなります。一方、寝ているときに分泌される成長ホルモンは、糖分・脂質を代謝しますので、質のいい眠りが取れていると痩せやすくなります。