日本の有給休暇消化率は、世界最低レベル

「月末の金曜日は午後3時に退社して余暇を楽しもう」と経済産業省と経団連、業界団体が旗振り役になって2月24日からスタートしたプレミアムフライデー。政府の働き方改革と可処分時間の増加による個人消費の喚起、一石二鳥の呼び水にと期待されたが、現状は完全に企画倒れの感である。

鳴り物入りのプレミアムフライデーは不発。(写真=AFLO)

初回の2月24日にプレミアムフライデーを実施した企業・団体の割合は日本全体のわずか0.1%にすぎなかったそうだ。もちろん様子見の企業もあっただろうが、だからといって新年度やGWを控えた3月、4月の最終金曜日にプレミアムフライデーを実施する企業が増えたとは思えない。月末の金曜日という一番忙しいタイミングに早上がりを推奨するのもセンスがない話だが、そもそも国がかけ声をかけてやるべきことなのかと私は思う。

日本人は「休暇」に対する意識が非常に低い。遅れている、と言ってもいい。たとえば日本の年次有給休暇の平均日数は2週間程度。20~30日の有給休暇が認められているヨーロッパと比べれば決して恵まれているとは言えないのだから、もらった休暇ぐらいしっかり取ればいいのに、日本の有給休暇の消化率は世界最低レベルなのだ。

オンライン旅行会社エクスペディア・ジャパンの国際比較調査(2016年)によれば、日本の有休消化率は50%で、調査対象の28カ国中最下位。ちなみにブラジル、フランス、スペイン、オーストリア、香港の有休消化率は100%。アメリカは80%で、多くの国が70%を超えていてワースト2位の韓国で53%だ。驚くべきは自分に支給されている有給休暇の日数を知らない日本人が47%に上ること。2位の韓国(21%)を引き離して、28カ国中ダントツ。有給休暇に無頓着な日本人の特性が見事に表れている。他方で日本は祝祭日の日数が先進国の中でも抜きん出て多い。おおっぴらに休みやすい法定休日を政治家が量産してきたからだ。全体主義よろしく皆が一斉に休むものだからゴールデンウイークやシルバーウイーク、お盆休み、年末年始はどこも大混雑、道路は大渋滞である。

皆が横並びの祝祭日なら大手を振って休めるが、自分の都合を優先する有給休暇は取りにくい。プレミアムフライデーにしても、お上が号令をかけなければ働き方や休み方を変えられない日本人のしみったれた根性の産物なのだ。