世の中は、「理系的資料」と「理系っぽいプレゼン」が存在する。システムエンジニアとして働いた経験を持ち、現在も多くの理系職種と接しているコンサルタントが解説。
(教える人)ベイカレント・コンサルティング執行役員 米国会計士 高橋友紀氏●ベイカレント・コンサルティング執行役員。米国会計士。早稲田大学卒業後、インフォシス、アクセンチュア、マッキンゼーなどを経て現職。

IT企業のシステムエンジニア、メーカーの研究開発、薬剤師……。いわゆる「理系職種」と呼ばれる人たちは、論理的で正確、細かい、そして数字に強いといったイメージがありますよね。これは、資料を作るとき、プレゼンするときに大いに役立つ能力です。しかし一方で、その性格や思考があだになることがあります。ありがちな失敗例を見ていきましょう。

【資料を作るとき】

■データ集めが目的に……

理系の仕事は先にデータを集めて、そこから「何が読み取れるか」を考えることが多い。そろったデータを見て傾向を浮かび上がらせ、課題を抽出、内容を考える。いわゆる「ボトムアップ方式」です。何が必要なのかを精査せずにあらゆるデータを集めるので効率が悪いだけでなく、抜けがあったり余計なものが入った資料に仕上がることも。

⇒解決策 仮説を立ててスタート

「トップダウン」の手順を意識しましょう。まずは今ある情報で、仮説を立てる癖をつけるのが大事です。その仮説を検証するために何をどうしたらよいか議論すれば、おのずと必要なデータが見えてくるでしょう。調べていくうちに分析結果が仮説から離れてしまっても、問題なし。また仮説を立てて分析をすればいいのです。

■グーグル検索が大好き!

「答え」をいかに素早く見つけられるかが求められ、知識に素早くアクセスできる人ほど評価されるのが理系の世界。何かを始める際にはまずWeb検索で「一般的な答え」を見つけようとします。とりあえず何らかの答えや知識が見つからないと安心できない。答えは参考にするだけではなく、コピペして済ませてしまうこともあります。

⇒解決策 人に会いにいこう!

ビジネスにおける課題は、相手のニーズを聞いて問題点をさぐり、いかに解決策を引っ張り出すかが大事。顧客や社内外の関係者にヒアリングすることが大きな助けになります。Web検索好きほど、生身の人間の声を聞く機会を持とうとしません。「ユーザー目線」の資料にするために、パソコンを閉じて人に会いにいきましょう!