衆議院議員の任期の半分が経過し、解散・総選挙が視野に入ってきた。解散・総選挙はいつか、自公連立政権を支える山口公明党代表を直撃する。

森友学園側の言動に振り回されすぎている

【塩田】2度目の安倍内閣ができて4年が過ぎた今年2月中旬、森友学園問題が表面化し、国会でも3月23日に当時の籠池泰典理事長の証人喚問も行われました。

山口那津男(公明党代表)

【山口】われわれは当事者ではないので、安倍首相との関わりや、実態がどうかという点は、つぶさにわかっているわけではありません。安倍首相が直接関わったという証拠はまったく出てきていない。夫人が森友学園で挨拶したといったことはあったと思いますが、国政に直接、関係することではありません。巻き込まれている感があります。決然と切り離して、国政とは違うと言うべきです。行政の手続きについても、格安で処分したとか、意図的に報道されている部分もあると思います。実際に処分の実例はたくさんあり、それらと同じ基準で行われているところを見るべきですし、きちんと元に戻すべきです。

籠池さんを証人で呼びましたが、本来、国会に呼ぶのは慎重でなければ、とわれわれは言ってきました。予算委員会が現地を視察したとき、籠池さんから直接、投げかけがあり、安倍首相のお金が入っているというような聞き捨てにできない話が出ましたから、嘘をついてはいけないという前提の証人として話を聞くことを決めたわけです。

【塩田】森友問題について、公明党はどういう方針で臨んでいますか。

【山口】政治家が関わって国政を歪めたという論証、事実関係がまったく表れてきていない。森友学園側の言い分や言動に振り回されすぎていると思います。本来、予算案の審議を通じてもっと議論されてしかるべきところが議論されずに終わったのは残念です。

【塩田】昨年の臨時国会で、安倍政権が推進した統合型リゾート施設整備推進法案(IR法案。カジノ解禁法案)が成立しましたが、同じ与党の公明党は自主投票を決め、山口代表は参議院での議決で反対票を投じて話題となりました。

【山口】あの時点で国論は二分していて、むしろ反対の世論のほうが強かったと思います。賭博禁止の例外を認めるのはいかがなものか、日本社会のあり方に大きな変質をもたらすのでは、という意見もあり、議論を集約し切れない中で国会で審議が進められた。

われわれはそれぞれの価値観に基づいて行動しようということで自主投票を決めました。地域経済推進に必要という意見の人や、他方で違う声も多かったから、議論が成熟しない中で党議拘束して一色に染め上げるのは妥当ではないと判断しました。

私自身は、賭博罪の例外をつくることに合理性を見出せない、実際に外国のカジノを見て日本の社会のあり方として好ましくない、と思っていましたから反対票を投じました。

【塩田】公明党は東京都議会でも自民党との提携を解消しました。自公両党の足並みの乱れが表面化し、すきま風が連立政権全体に影響を及ぼすのでは、という声もあります。

【山口】それは誤った見方だと思います。IR法に限らず、合意形成過程でのぶつかり合いはときどきありますが、最終的な政権運営の責任はいささかも揺るがないと思います。

東京都政では、われわれは都知事選で小池知事とは違う人を推しました。地方自治は二元代表制ですから、知事と議会議員を選ぶときに民意がずれることはありますが、ひとたび圧倒的な民意を得て知事が選ばれた以上、議会と軋轢が続くのは好ましいことではありません。小池さんは都議会に自前の基盤がない。都政を安定させ、2020年の東京五輪・パラリンピックなどの大きな目標を成功させて、都民の生活課題も取り上げていくには、経験と実績がある公明党が軸にならなければならない。その責任感で、小池さんと合意して都議選に臨むという姿勢にしたわけです。