孫を養子にすれば相続税が安くなる!?

今年1月末、相続税の節税を目的とした養子縁組の有効性が争われていた裁判で注目の判決が下された。

訴訟は姉弟間で起きた。ある男性が節税目的で自分の息子を自分の父親と養子縁組させた。祖父と孫が親子関係になったわけだが、これに男性の2人の姉が反発。高裁では縁組が無効とされたが、最高裁はこれを破棄。節税目的でも縁組するという意思が否定されない限り、直ちに縁組は無効にならないという判断になった。

そもそもなぜ祖父と孫の養子縁組が節税になるのか。効果は2つある。まず1つは、法定相続人が増えることによって生じる効果だ。

相続税の課税対象は、遺産から基礎控除額を差し引いた額である。基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人)」。法定相続人が増えれば基礎控除額も増えて、課税対象額は減ることになる。

もう1つは、飛ばし相続の効果だ。祖父、子、孫の三代にわたって相続が発生すれば、相続税は2回課税されるが、祖父と孫が親子になれば、法定相続分通りでも遺産の一部を一代飛ばして相続できる。相続税額の2割加算によって税額が2割増になるものの、相続税の課税回数は1回分減らすことができる。