>>内藤さんからのアドバイス

私の通勤時間は、片道でバス20分プラス電車20分です。座れるよう、自宅の最寄り駅をバスの始発停留所にしているので、車内で仕事をすることも少なくありません。電車も足せば通勤時間の往復だけで20分のまとまった時間が1日4セット使えると考えると、非常に使いでのある時間ともいえます。メルマガやマネー雑誌などの原稿を月10本以上書いているので、原稿チェックなどの作業をするにはこの20分×4セットがうってつけの時間になります。

一方で会議が予定より早く終わったときなどに突発的に生じるスキマ時間は、たとえば次に出す本の企画をどうするかなどのアイデアを練るのに使います。たとえば最近はA4サイズの紙にまとめた未完成の企画書をいつも鞄の中に入れてあるので、空いた時間に取りだして内容を見直すようにしています。

「着手が遅い」の項でも、講演用の資料を1枚の紙を使ってつくり上げる方法に触れましたが、アイデアをまとめるときはパソコンではなく、だいたい紙から入ります。アナログのほうが人間味が出ておもしろいというのもありますし、どこでもサッと取りだせてそのまま書けたり直せたりする点が便利です。

原稿を書くときも、紙に全体の構成を書きだし、合間合間に見直して内容や話の流れに繰り返し修正を加えます。このようにしてスキマ時間を利用して構成を決めてしまえば、あとはキーボードを打つだけなので、さほど時間はかかりません。私の場合は1時間半といったまとまった時間が取れたとしても、長すぎてダレてしまうだけ。細切れの時間のほうが仕事がはかどるように思います。

内藤 忍●マネックス・ユニバーシティ社長

1964年生まれ。東京大学卒業後、住友信託銀行入行。米国MITでMBA取得。シュローダー投信投資顧問を経て、99年マネックス証券入社。2004年マネックス・オルタナティブ・インベストメンツを設立し、05年11月より現職。資産運用に関する著書多数。
(石田純子=構成 相澤 正=撮影)