パズルが苦手な人が介護業界には多い

介護業界は慢性的に人手が不足している。昨年12月、厚生労働省が発表した介護職の有効求人倍率は、なんと3.46倍(含パート)。2025年には全国で介護職員が約38万人不足するという予測も発表している。今後、ますます社会問題化していくことは間違いないだろう。

行政は介護職を増やすため、無料で介護資格を取得できる支援制度を実施するなど、さまざまな施策を講じてきた。しかし、それは根本的な解決に向かわないと私は見ている。というのも介護現場に最も不足しているのは、現場スタッフというより、それをマネジメントする管理職クラスの人材であるからだ。

介護保険法では各事業所に1人の管理者を置くことが定められている。介護現場を比較してみると、この管理者のマネジメント能力が、事業所のキャパシティ、スタッフの労働環境や業務負荷を大きく左右している。

たとえば、私の運営している訪問介護事業所では、同じ規模と人員であるのにもかかわらず、月商720万と860万円の差が出た。経費を見ても前者が多く、後者は少ない。どうして、こんなに差が出るのだろうか? それはマネージャーの時間管理能力によるところが大きい。

訪問介護は現場から現場の間に、中途半端な空き時間がある。時間管理に長けたマネージャーであれば、たとえ1日8件の訪問でもスキマをつくることなく、効率よく回ることが可能だ。当然ながら職員の拘束時間が短くなり、人件費は下がる。

一方、マネージャーがつくるシフトが非効率である場合、中途半端な空き時間が生まれ、拘束時間の長さに反して実働時間が短くなる。スタッフ人数のわりに、サービス提供量が少ないという望まざる結果を生みだしてしまう。