すぐやらない部下は評価できない

すぐやる人というのは、「すぐやることが習慣になっている人」のことだと思います。こういうことは子どもの頃から習慣として身に付いていなければ、大人になってからどうこうできる問題ではありません。

SBIホールディングス社長 北尾吉孝氏

古今東西問わず、「今日できることは明日に延ばすな」と言われているように、この習慣は大昔から非常に大事にされています。そのため、子どもの頃から親がちゃんとそういうことを躾けなければいけません。

すぐやることが習慣になると、集中力が高まり、何としても今日中にやらなければという粘りが出てきます。習慣とはその人の「第二の天性」であり、人間を構成する4要素として徳性・技能・知性と並び非常に大切なものだと思います。

仕事においても、上司から頼まれた仕事への取り組みが遅い人はまずダメです。そのような人は仕事に真剣に取り組んでおらず、ダラダラと仕事をし、上司への報告もしません。すぐにやる習慣が身に付いていないからでしょう。

上司から仕事を頼まれたら、必死になって一気呵成に仕事に取り組む、その日のうちに取りかかることが大事です。判断がつかない場合には、一人で悩まずすぐに上司に相談する。私が部下を評価するときに、そういう判断をすぐできるかどうかも重視しています。

かばんは持たない。持ち物は最小限に

私自身、思い立ったらすぐ行動するタイプなので、できるだけ身軽でいたいと思っています。ですから持ち物は最小限にしています。

これを言うと驚かれるのですが、かばんを持っていません。代わりに愛用しているのが、自社の紙袋。「歩く広告塔」になっています(笑)。軽いうえに、違う大きさの袋を重ねると隙間をコンパートメントに使うことができます。すぐに使う書類としばらく置いておく物とに分けて整理でき、破れたら破れた部分のみ交換できるので重宝しています。

すぐ動く・すぐやることを意識して、紙袋のコンパートメントで仕分けしていれば、目の前の仕事にグッと集中して取り組むことができます。しかし、長時間集中力を持続させることは不可能であり、「急急だらり急だらり」の「だらり」も必要となってきます。