自分の市場価値はいくらだろうか。どうすれば、その価値を高めることができるだろうか。

会社員がいま求められている能力は、どんな命令を受けても動じない「覚悟」である。上司から「ベトナム支社へ赴任することになる」という内示を受けて「行きます」と即答できる自信があるだろうか。既婚者はもちろん単身者であっても、とりあえず答えを保留するのではないだろうか。

日本人社員はなぜ海外赴任に不安を抱くのだろう。そこには日本人特有のきちんと調べてからでないと行動できないという「真面目さ」と「語学力の不安」が影響しているのかもしれない。そんな下調べ派には海外赴任に関する情報を提供する講座を受講することをおすすめする。例えば一般社団法人日本在外企業協会が主催する「海外赴任前セミナー」では、海外赴任者と家族が安心して海外生活を送るためのノウハウを教えてくれる。「海外生活と安全」という講座ではスリ等の犯罪が多い空港・街なかの移動時や車を利用する場合の注意事項、さらには外国人を狙ったテロ・誘拐対策などについて日外協の海外安全アドバイザーが事例を交えながら講義する。「健康管理・医療」では予防接種の種類や受け方、生活上の注意点、日本とは異なる医療制度や医療機関の受診方法などを渡航医学専門の医師がアドバイスしてくれる。

同時にいつ海外赴任を打診されても「イエス」と答えられるように日々、語学力を磨いておこう。トリリンガルを目指す前に、まずはさびついた英語のメンテナンスから。

会社員が加入する雇用保険には教育訓練給付制度がある。一定の要件を満たした雇用保険の一般被保険者(離職者も含む)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了すると、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額を「一般教育訓練給付金」として支給してくれる。給付金の上限は10万円(4000円を超えない場合は支給されない)。英語のメンテナンスのために指定の英会話教室に通い、その受講料が20万円だった場合、4万円の支給を受けることができる。支給申請手続きは本人が受講修了後、ハローワークに対して必要書類を提出すればよく、会社に対して特別な届け出をする必要はない。給付対象の講座に関しては「ハローワークインターネットサービス」で検索できるが、念のため学校側に講座が給付対象になっているのかを確かめておこう。

しかし「覚悟」は海外赴任にとどまらない。正社員という既得権益に安住して会社の看板に寄りかかるのではなく「自分の足で立つ」ことを求められている。そのためには誰にも負けない専門性を持つことが重要。旧来の会社員は出世のためにゼネラリストを目指したが、これからの会社員は専門性を高めて、転職をしても通用するスペシャリストになる「覚悟」を決めること。それが自分の市場価値を高める方策なのだ。

先が読めない時代だからこそ、ビジネスマンとしての市場価値を高めながらも、金融資産を増やす努力も続けたいところ。年収1500万円以上稼ぐ人と400万円台の人の投資スタイルを比較したところ、収入における投資へ回す金額の割合、投資対象、リスク許容度の3点で大きな違いが見られた(図参照)。1500万円以上稼いでいる人の特徴は、手取り収入の約1割を投資に回している。その資金は半数近くが預貯金ではなく、株や投信で運用しているのだ。総じて、稼いでいる人ほど、リスクを取っていることが明らかになった。元本割れしては困るとリスクを避けてばかりでは、大きく稼ぐチャンスはめぐってはこないのだ。

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