エクセルと同様の表計算機能を持つフリーソフトはいくつか存在する。

それらの機能は大体エクセルと同じと考えられているが、エクセルにない、便利な特性も実は持っている。グーグルが提供している表計算ソフト「スプレッドシート」ならではの特性を、Google for Workプロダクト&テクニカルマネージャーの佐藤芳樹氏に教えてもらった。

「そもそものコンセプトが違うのです。スプレッドシートはグーグルの共有文化から生まれたもの。そのため、資料を共有して同時作業できるというのが強みです」

例えばこうだ。スプレッドシートを開くと「共有」ボタンがあるので、そこに同時に作業したい人のメールアドレスを入れて送信する。送信されたほうは、編集権限さえ与えられていれば、ログインして同じスプレッドシートを開き、自分のPC画面を見ながら、同じ資料にリアルタイムで入力できるのである。

履歴は1秒程度の間があくたび自動保存。終了したらグーグルドライブに自動的に格納されるしくみだ。会議中に 「佐藤くん、ちょっとここに君の売り上げ入れてみて」とか「そのデータを変更したらどうなる?」など試算しながら討論が可能。ぐっとスピードアップが期待できる。

「共有する必要も相手もいない」という人も、グーグルドライブというクラウド上にデータが保存されることで、家でも会社でも同じ環境で作業ができるメリットがある。

「エクセルとの互換性もあります。ドライブにエクセルシートをのせるとスプレッドシートとして表示されます。もう一つの利点として、常に新バージョンにアップデートされていくので、マクロの互換性がないからバージョンアップできない、なんてこともありません」(佐藤氏)

ほかのグーグルサービスとの連携がいいなど長所はまだあるが、欠点はあるのか。

「お客様に罫線やグラフの種類が少ない、ピボットテーブルも改善してほしいという要望をいただくことはありますね」(佐藤氏)

致命傷というほどのデメリットではなさそうだ。

スプレッドシートの特性【1】
50人まで同時に編集することが可能

(a)グーグルの「共有」という企業文化背景から生まれたスプレッドシートの最大の特徴は、別々のパソコンから同時に入力作業ができること。色違いのカーソルの上に名前が表示され、誰がどこを入力しているのかがわかる。

(b)スプレッドシートの上にはコメント欄をつくり、メッセージを残すこともできる。その場で解決しなかった懸案事項、質問、欠席者へのメッセージなどをわかりやすく残すことができる。これらの変更も随時、自動記録されていく。