だるくてぼんやり、なんだか仕事がはかどらない……。そのまま放置していると、取り返しのつかない結果に!? 食事、運動、睡眠を見直して、健康な脳と心身を取り戻そう。

万病を招く睡眠不足の恐怖

夜中に何度か目が覚めて寝不足気味という人、いますよね。「いや、それどころじゃないよ。仕事が忙しくて日常的に寝不足だよ」という人もいるでしょう。

気を付けてください。そんなあなたの脳は正常に働いていない可能性があります。

では、どのような睡眠をとるべきなのでしょうか。まず大事なのは、「睡眠の量」です。

ちょうどいい睡眠時間には個人差があります。6時間未満で元気な人もいれば、8時間以上の睡眠が必要な人もいます。まず意識して、頭がすっきりして非常に快活に1日を過ごせる睡眠時間を見つけてください。その睡眠時間が基準になります。

それよりも2時間以上足りない状態が2日以上続くと、人は睡眠不足の症状が出てきます。4時間ほどの極端に短い睡眠時間で平気だという人がいますが、睡眠不足が常態化しているのはとても危険なことです。

自治医科大学が行った研究に、健康な男性では睡眠時間が6時間未満の場合、7~8時間の場合と比べて死亡率が2.5倍になるというデータがあります。いったい、何が起きているのでしょうか。

人は睡眠不足の状態になると、脳の一番外側にあり、情報を言葉に変換して記憶する大脳新皮質と、その内側にあり、五感と感情をつかさどる大脳辺縁系に変化が出てきます。

イラストレーション=中川原 透

まず、代謝・内分泌の機能が低下します。人は元気な状態を保つために、甲状腺、脳下垂体、副腎、脾臓など多数の内臓からさまざまなホルモンを分泌しますが、この分泌機能が低下すると、糖尿病や心疾患などの病気にかかりやすくなります。

自律神経にも悪い影響を与えます。眠るとアドレナリンの濃度が下がり、新陳代謝が抑制されます。それにより自律神経の活動が弱まるため、人は休養をとることができます。眠らないでいると、アドレナリンの分泌量が上がったままになってしまい、自律神経を休める暇がなくなります。すると、血圧と血糖値が上がりやすくなり、糖尿病の原因になります。慢性的な睡眠不足が続くと、全身の多系統に影響が及び、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患も起こりやすくなります。