都民一人ひとりの判断「住民投票」はあるか?

東京都議会平成29年第1回定例会が2月15日に始まった。さっそく豊洲移転問題について百条委員会が設置されるなど、波乱含みの様子が窺える。百条委員会には2010年10月に移転を決断した石原慎太郎元東京都知事や石原知事の指示の下で東京ガスと「水面下の交渉」をしたと言われる浜渦武生元副知事などが呼ばれる予定だ。当初は売却を躊躇した東京ガスからどのようにして承諾を得たのか、瑕疵担保責任を外したのはなぜなのか等々、明らかにされなければならないことは多い。

誰よりもその全容解明を望んでいるのは、小池百合子都知事だろう。2月22日に開かれた本会議では、施政方針演説の中でこう述べている。

「今こそ、日本の首都東京を鍛え直さなければなりません。東京の発展を支える都政のあり方や、議会との関係の整理・見直しも必要であります。徹底した情報公開は、その一歩であります。ただし、自分たちの都合のいい情報だけを発信するのでは、情報公開とは言えません。私が『東京大改革』の名の下に、『都政の透明化』を第一に掲げているのは、都民の皆様に、都政の真実を曲げることなく届けることで、都民一人ひとりに考え、判断していただくためであります」

ここで留意すべきは、小池知事が「都民一人ひとりに判断していただく」と述べた点。もっとも小池知事の目的は、真実を都民に明らかにすることに尽きるわけではない。それに基づいて都民からアクションを起こさせることだ。それも自分に有利になるように。

それはどういうことなのか。実は知事の周辺から、「住民投票」の実施が漏れ伝わっている。「都民一人ひとりに判断していただく」とは意思決定を都民に委ねる、すなわち住民投票に打って出るという意味になる。

ではいつ実施するのかというと、7月2日説が有力だ。この日は東京都議選が行われるが、住民投票も同時に行うとなると、それを推進する小池知事の露出が当然のことながら大きくなる。小池知事は「都民ファーストの会」から候補を擁立しているが、住民投票の相乗効果で大量当選の可能性も高まる。

これは2015年に大阪市で行われた「大阪都構想」を問う住民投票に似ている。大阪市の場合は214万人の有権者を対象とし、「日本政治史上最大級の住民投票」と言われたが、もし1000万人の有権者を擁する東京都で住民投票が実現すれば、これを大きく上回る。