スカイマークの佐山展生会長は2016年9月半ば、懸案のANAホールディングス(HD)とのコードシェア(共同運航)について「現在そういった話は進んでいない」と報道陣に強調した。2015年1月に経営破綻したスカイマークは、同年9月に佐山氏率いる投資ファンドから50.1%、ANAHDから16.5%の出資を受け、再建を目指している。共同運航ではANAがスカイマークの一部座席を買い取り、予約システムの接続などが必要になる。当初、佐山氏は「16年冬ダイヤ開始に間に合わせる」との姿勢だったが現在は後ろ向きだ。路線絞り込みによる搭乗率回復や原油安で収益環境が好転しており、ANA従属につながる共同運航に否定的になった。5年以内の再上場を視野に独立性を確保したい思惑もある。

スカイマーク会長 佐山展生(AFLO=写真)

佐山氏が一躍有名になったのは2000年代半ば。当時、一橋大学大学院教授の佐山氏はライブドアのニッポン放送買収や楽天のTBS買収をめぐる騒動に際し、M&Aの専門家としてテレビに頻繁に出演した。村上ファンドの株買い占めを機に阪急HDと阪神電気鉄道が統合した際は、阪急側のアドバイザーも務めた。銀行関係者は「佐山氏は海千山千で相当したたかな人物。ANAは今後も振り回されるだろう」と話す。

ただ原油安は永続するとは限らない。再上場に成長戦略は不可欠だが「スカイマークは大手航空と格安航空会社(LCC)との間で立ち位置がわからない」(大手証券)との見方もある。今後も佐山氏とANAの神経戦が続きそうだ。

スカイマーク会長 佐山展生(さやま・のぶお)
1953年生まれ。京都大卒。76年帝人入社。ユニゾン・キャピタル代表取締役などを経て2008年から投資ファンドのインテグラル代表取締役。15年9月スカイマーク会長。
(AFLO=写真)
【関連記事】
スカイマーク破綻の裏にチラつく国交省の影
ANAとJAL、勝つのはどっちだ?
加速する価格破壊! 最新版「LCC活用術」
迷走50年、日本の空港「非効率の極み」
エイチ・アイ・エス会長「経営破綻からの再生」