「調子に乗って、引かれるほどのどぎつい下ネタを披露してしまったことがある」(40歳・医療関係)、「どこからがセクハラになるかわからないのが怖い」(46歳・不動産)というように、本来は「笑えるネタ」であるはずの「下ネタ」を警戒する人は多い。やはり、ビジネスの場ではタブーと考えるべきなのだろうか。

【アンケート概要】リサーチプラスにて20~50代のビジネスマン300人にアンケートを実施。2016年3月11~15日。

法律的に問題なし下ネタはユーモアだ!

「ユーモアがある適度の下ネタには、場をなごませ、相手の心を開く効果があります。下ネタすべてを『セクハラ』とするような風潮がそもそも間違いなのです。過去の判例を見ても両者の違いは明らかです」と異を唱えるのは、意外にも弁護士の佐藤氏だ。

「そもそもセクハラとは、『相手の意思に反して、不快・不安な状態に追いこむ性的な言葉や行為』のことを指します。端的に言えば、嫌がらせやわいせつな目的で、相手が嫌がっているにもかかわらず性的な言動をするのがセクハラ。相手が嫌がっていない、ユーモアのある下ネタなら、雑談テクニックの一つと捉えるべきでしょう。これには何ら問題がありません。難しいのは、『こちらからは』嫌がっていないように見えても、『本音では』嫌がっているケースがあること。しかし、日頃からの信頼関係さえあれば、相手の許容範囲が推し量れたり、感情の見極めができたりするので、セクハラになることはないはずです。心配なら、下ネタを会話全体の1~2割にとどめるなど、分量を調整してはいかがでしょうか。どんな話も、一度に大量に聞かされれば胃もたれしてしまいます。お酒の席など、判断力が鈍るような場面では極力口にしないというのも、相手を不快にさせない気配りとして大切です。知的な話の緩衝材として用いるのも、いやらしさがにじみにくいので有効です」

下ネタは、相手の許容範囲さえ超えなければ、立派な雑談の材料になる。やはりユーモアの一ジャンルだったのだ。

佐藤氏と少し趣は違うが、営業支援会社で代表を務める嶋基裕氏も自身の経験から下ネタの汎用性を語る。

「35歳を超えた頃から感じはじめたのは、40代、50代の男性の『男性機能』への関心の強さです。薄毛や肥満の話と同じように、ざっくりと『身体ネタ』の一ジャンルとして『下半身の健康状態はどうか』という話が出てくるのです。これは女性に聞かせるような話ではないので、男同士、正直に事情を話せばいいのでしょう。それによって『お互いがんばろう』と、ある種の連帯感が生まれることもあるんじゃないかと思います。下ネタの役割を『笑い』と捉えるなら、笑いに関しては私は非常に貪欲です。もちろん、スピーチで下ネタを飛ばしたりはしませんが、『主賓挨拶でそんなに笑いをとりに行く必要があるの?』と妻に不思議がられるくらい、『笑わせる』ことを目標にスピーチ原稿を書きます。みんなが一緒になって笑えて、結婚式で話しても失礼にならない『すれすれ』のラインを狙っていくのです。自分では毎回ギリギリOKだったと信じていますが、ヘマをして恨まれないよう気をつけなくてはいけませんね」

・全員が笑える下ネタを話す【
・下ネタは完全に封印する【×
レイ法律事務所 代表弁護士 佐藤大和
芸能トラブル・企業法務など幅広くカバー。人気ドラマの法律監修・出演なども行う。著書、『ずるい暗記術』『二階堂弁護士は今日も仕事がない』。
 
アイランド・ブレイン代表取締役社長 嶋 基裕
「世界で一番頼りになる営業支援会社」を目指し、55業種・1200社以上の営業・販路開拓をサポートする営業支援事業を行う。商談実績は4万件近く。
 
(川島英嗣(嶋氏)=撮影)
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