手帳サイズは年収に比例する

使いやすい手帳の形態は、仕事の内容や立場によって異なる。そのため一概には言えないが、「手書き」の手帳をメインで使用する人に関していえば、年収が高いほど週間手帳を好み、年収が低い人ほど月間手帳を好む傾向にある。

「アポイントの量を考えると、1日に対してある程度のスペースが必要。1ウイークなら余白にちょっとしたアイデアも書き込める」(PRマネジメント代表取締役・渡瀬裕哉氏)という声もあり、スケジュール管理と持ち物としての手帳サイズ両面から考えて、週間手帳に落ち着くのかもしれない。

いっぽう、年収200万円の人たちの主張はこうだ。

「特に忙しくしていないので、マンスリーくらいがちょうどいい」(スポーツインストラクター)

「プライベートの大切な予定は頭に入っているし、仕事は定時に会社へ行けば何とかなる。1時間刻みで書くほどの予定はない」(SE)

「仕事を整理するのがとにかく苦手。誰かに『やって』と言われるのを待っているので、その都度対応すればいい」(派遣事務)

どうやら、本人が先々の予定をよく把握していないために、手帳に書くべき予定や日々のタスク、アイデアが限られてくるようだ。

「ベスト」な手帳の形態は人それぞれ。なかでも、メタップス取締役の和田洋一氏は、アイデアを生み出す過程で試行錯誤を重ねた結果、「プリントアウトしたA4のスケジュール表1枚だけ」という意外な選択をしている(2009年11月2日号 当時・スクウェア・エニックス・ホールディングス社長)。

メタップス取締役 和田洋一氏

「アイデアを考えるためのメモ用紙は、罫線が入っていないほうがいい。なぜなら、罫線があると、アイデアが罫線に束縛される気がするからである。

たとえば、ある課題を解決するアイデアを生み出さねばならない場面を想定してみよう。重要性の高い論点が1つ。重要性の低い論点が3つ。これを罫線の入ったメモ用紙に1行ずつ書き入れると、重要性の低い論点が3行の幅を取ることになる。結果、重要性の高い論点よりも視覚的に“重く”見えてしまう。本来なら、最も重要な論点こそ大きく書くべきだが、罫線の束縛を受けて、軽重が逆転してしまうのである。

アイデアを書き留める際、あるいは自分のアイデアを他者に伝える際には、なるべく絵や図表で表現したほうがいいと私は考えている。視覚は言語感覚に比べるとはるかに生理的なものだから、ウソや曖昧さの紛れ込む余地が少ない。逆にいえば、言葉で表現すると、論点が曖昧になりがちなのである」

メタップス取締役(スクウェア・エニックスHD前社長) 和田洋一
2008年から13年までスクウェア・エニックスHD代表取締役社長を務める。経団連の著作権部会長なども歴任。
 
(坂本政十賜=撮影)
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