大学内でのセクシャル・ハラスメント、いわゆる「アカデミック・ハラスメント」が後を絶たない。

07年10月には、女子学生にセクハラ行為をしたとして、中央大学商学部の男性専任講師が懲戒解雇処分を受けた。同大学では、同年3月にも同様の理由で男性教授を諭旨解雇処分にしている。

同年9月には、島根大の男性准教授が女子学生へのセクハラ行為で停職3カ月の懲戒処分を受け、依願退職。島根大でセクハラ行為で懲戒処分された教員は、2003年以降、これで5人目だ。

このほか、久留米大学の男性助教が、飲み会で女子学生を泥酔させた後にわいせつ行為に及んで、停職3カ月の懲戒処分を受けていたことが発覚。大阪教育大の男性教授は女子学生への強制わいせつ行為で逮捕、起訴されて懲戒解雇された。東京芸術大学の男性教授は、20代の女子学生を旅行に誘ったり、胸を触る、無理やりキスをしたとして停職1カ月の懲戒処分を受けている。

ざっとあげただけでも、この3カ月足らずでこんなにある。これでは最高学府の名が泣く。娘を持つ親にとっては、大学の隠された一面に、大変な不安を持つことだろう。

かつて、学校法人ルネス学園代表理事を務め、教育・セクハラ問題に詳しい谷澤忠彦弁護士がいう。

「万が一、わが娘がセクハラ被害を受けたとしても、絶対に泣き寝入りしてはいけません。闘うことです。まずは、親が加害者である先生と話をする。その際に、会話を録音しておくことです。隠し録りでもかまいません。後で証拠になるようにしておくことが大切です」

そもそもセクハラについて規定しているのは男女雇用機会均等法だ。1997年の改正で、事業主に対してセクハラ防止の配慮義務が規定され(07年4月の改正により、措置義務に厳格化)、当時の文部省は、セクハラ防止規定の制定を求める通達を各大学に出している。今やほとんどの大学で啓蒙活動を実施、セクハラ相談窓口やセクハラの調査・対策機関が設置されているが、大学でのセクハラ被害はなくならない。