「仕事にやる気が出ない」「もっと頑張らなくては」──。こんな悩みを抱えている人は多いのでは。今大ブームのアドラー心理学は、無理に頑張らなくても、自分のやる気を引き出せる方法を教えている。やる気をなくしてしまった7つの症状別に「やる気が湧く行動習慣」を紹介していく。

(5)夜行性型

お気に入りのお笑い番組を観る

ビジネスパーソンには朝型が合う人もいれば、夜型のほうがいい人もいるだろう。生活習慣や体質によるところもあるから、本来は各自が自分に合った働き方を選べばいい話かもしれないが、多くの会社員は9~17時といったように日中の勤務が固定されているので、できれば朝からやる気がみなぎっていたいはずだ。

夜更かしの習慣をなかなか変えられずに朝起きるのが辛い人は、まず眠りの質をよくしたい。そのとき気をつけるべきは、寝る前の時間の過ごし方。

あるとき行動イノベーションの専門家である大平信孝氏の下に、ソファでしか寝られないと相談に来た人がいた。毎晩、ソファで仮眠をとるうちにそのまま一晩寝てしまい、そのクセがどうしても抜けないという。ソファはベッドほど寝心地がよくないため、眠りは浅く、常に寝不足で日中にやる気が出ないという悩みを抱えていた。そこで大平氏がアドバイスしたのが、寝る前の状態を変えることだ。

脳科学によると、人は寝ている間、寝る前の状態を再生しているという。たとえば、「明日の企画会議の準備が足りない。どうしよう」といった不安を抱えたまま眠りにつくと、「どうしよう、どうしよう」が数時間ずっと繰り返されることになる。これでは質のよい眠りが得られない。

そこで、たとえば翌日に企画会議を控えた晩なら、プレゼンがうまくいって、自分の企画が事業化されているといったいちばんいいイメージをしながらワクワクして床につくといい。日中は誰しも多忙を極めているだろうが、寝る前のほんのひととき、穏やかな時間を取り戻すだけで、睡眠の質が高まり、結果的に仕事のパフォーマンスも上げられるのだ。

自分でいい状態をイメージするのが難しければ、録画していたお気に入りのお笑い番組を観るなど、外からの楽しい刺激を利用するのもいい。少しでもいい気分、楽しい気分に浸ってから眠りにつくことを習慣にしよう。すると眠りの質が高まり、さわやかな目覚めを得られるだろう。

ただし、質の高い眠りを確保しても、元来夜行性だとどうしても日中うとうとしてしまう人もいるかもしれない。そんなとき、書道家の武田双雲氏は「いっそのこと、昼寝をしたら」とアドバイスする。「15分ぐらい昼寝するだけで、すごく気持ちいいし、ぼんやりした頭をリセットできる」。

とはいえ、デスクに突っ伏して寝るのはさすがにはばかられる。そこで、ひと気のない会議室や社食の一角など、社内で安心して昼寝できる場所をあらかじめ確保しておこう。