フィンテックは新興ベンチャー企業の登場を促す一方で、既存のIT企業を活性化させようとしている。 ブロックチェーン、AI、認証技術、API、セキュリティなど、フィンテックを構成する各分野に日本を代表する電機企業・日立製作所はどのように取り組もうとしているのか?

『まるわかりFinTechの教科書』(プレジデント社刊)の第6章「国内大手ITベンダーの取り組み」で触れることができなかった日立製作所のフィンテック戦略を吉川武志・日立製作所金融システム営業統括本部・事業企画本部長に聞いた。

4領域に重点的に取り組む

――日立製作所はフィンテックにどのように取り組もうとしているのか?

フィンテックを金融のデジタル化ととらえ、(1)インタフェース、(2)ビッグデータ・AI、(3)セキュリティ、(4)金融インフラ(ブロックチェーン)――の4領域に重点的に取り組み、エンドユーザー志向の新機能や新サービスを提供していく。

――各領域でどのような取り組みを行っているのか? まず、インタフェース領域では?

金融API連携サービスは、(1)日立が提供するインターネットバンキング共同センタサービスに加盟する金融機関向けのサービスと、(2)共同センタを利用していない銀行向けに同様の機能を提供する「銀行API連携サービス」を2月以降、順次提供する。この分野は全銀協がセキュリティ対策などのオープンAPIのあり方に関する検討会を進めているので、それに合わせた動きを採る。

金融API連携サービス
――ビッグデータ・AI領域は?

人工知能を(1)知識・知能層、(2)コミュニケーション層、(3)インタフェース層――の3層構造で高度化している。独自技術による人工知能「Hitachi AI Technology/H」は数値データなど構造化データから影響因子を発見し、スコアリングモデルを作成する。カブドットコム証券が貸し株業務へ適用しており、省力化を実現している。住信SBIネット銀行とは住宅ローンやカードローンの審査について実証実験を行っている。