「当社の若きエースです」と広報に紹介された松井菜摘さんは入社5年目。昨春、企画部門から営業部へ異動し、大手の雑貨店や文具卸を担当する期待の星である。手帳における転機は入社2年目だった。

三菱鉛筆のトップセールス 松井菜摘氏●2011年入社。企画部門を経て、国内営業部広域流通グループで大手雑貨店、文具卸を担当する若きエース。

「マンスリーに書き込んだ予定を確認しながら、今日やるべきことを同じ手帳の1日の予定に落とし込んでいたんです。でも仕事量が一気に増えたら、優先順位がわからなくなって……。仕事を整理できずに困っていたとき、先輩から『もう少し長いスパンで予定を引いたほうがいいよ』とアドバイスをもらいました」

そこで購入したのが、もう1冊のスケジュール用ノートだ。今まで通り手帳のマンスリーに予定を記し、それをもう1冊に得意先別・業務別などの項目に分けて転記する。1週間だと短いため、1ページで2週間を俯瞰できるのがベストだ。そして2週間単位で仕事の流れを把握した後は、それを見ながら再び元の手帳を開いて1日の予定を埋めていく。この“経由地”をひとつつくっただけで、仕事が一気に整理できるようになった。

「朝、早めに出社して、その日にやる仕事の時間を決めて書いていきます。締め切りを設定したほうが、集中して力を発揮できるタイプだと思っているので。スケジュール通りに終わると、『今日ははかどった!』という充実感がありますね」

また松井さんの手帳は、ほどよく色分けされて見やすい。2週間用ノートは、休日に黄色の蛍光ペンを引き、出張で1日会社にいない日は、前後に仕事が立て込むため赤の斜線を引いて目立たせる。またふわっとしたアイデアは「あとで消せるように」、プライベートの用事は「目立たないように」という理由から鉛筆で記入。滞っている仕事は優先順位を上げるようにマーカーを引き、赤いボールペンで書いた予定がなくなったときは、横線を引くと終わったと勘違いするので、修正テープで消すという丁寧さだ。

松井さんは平成生まれ。スマホを活用しないのか聞いてみた。

「仕事が完了した後、手帳のToDoリストに線を引くのが達成感あって好きなんですよ。デジタルのデータを消しても、そこまで嬉しくないかもしれません」

文具メーカーの営業らしく、手書きのよさを教えてくれた。