日本が過去最高の41個のメダルを獲得して閉幕したリオデジャネイロオリンピック。活躍したトップアスリートたちは日頃の疲れをどのように取っているのか。日本を代表するスポーツドクターとラグビートップリーグ昨年度王者に取材した。

日常生活で誰もが感じることのある「疲れ」。そもそも疲れとは一体何なのか。早稲田大学スポーツ科学学術院教授で、アテネ・北京・ロンドン五輪で日本代表選手団の本部ドクターを務めた赤間高雄氏に、疲労のメカニズムを解説してもらった。

「疲労とは、身体あるいは精神的負荷を連続して与えられたときに見られる、一時的な身体および精神のパフォーマンスが低下する現象です。活動を継続できず、休息が必要な状態と言い換えることもできます」

細胞レベルでは、細胞周囲の環境の栄養不足あるいは疲労物質の蓄積によって、活動が継続できない「疲労」状態になるという。また、ストレスによって細胞周囲の環境が変化することも疲労の原因だ。血液は酸素だけでなく、栄養を細胞周囲の環境に運搬し、蓄積した疲労物質を除去する作用を持つ。つまり、疲労回復には細胞周囲の環境を整える血流を増やす必要がある。この疲労回復のメカニズムは、実際には現場でどのように生かされているのか。

五輪ラグビー選手の疲労回復法とは

リオ五輪で今大会から正式種目に採用された7人制ラグビー。初戦で15人制の世界王者ニュージーランド代表を撃破し、世界4位になって話題となった。躍進の立役者の一人、ウイングの福岡堅樹選手が所属するパナソニックワイルドナイツに取材に伺った。

まずは、帰国間もない福岡選手を直撃した。

「リオ五輪では試合が1日2回。全力で走り回り、世界の強豪選手の激しいタックルを受け続けて蓄積された疲労を、いかに回復するかが重要でした」と話してくれた。