基幹ファンド「ひふみ投信」が抜群の運用成績を収めるレオス・キャピタルワークス。同社の投資責任者も兼任する藤野英人社長は、長期成長株投資の有用性を説くために全国各地を行脚して回っている。そこで地域経済をつぶさに眺めてきて、ある共通項に気づいた。地域経済活性化の意外な担い手とは。

地方創生の担い手はビジネスを知らない

レオス・キャピタルワークス藤野英人社長

政府は「地方創生」のスローガンを掲げている。

私はファンドマネージャーとして日本の株式に投資をしており、企業調査や、ファンドの販促、投資教育のため、年間110~120泊程度、地方に出張している。その中で感じるのは、「地方創生」の受け止め方にかなり地域差がある、ということである。

たとえば福岡市は地方と都会の接点のような地域であり、もともと市長が非常にクリエイティブな方である。あのように先端的なところでは、国からの予算も取り、低廉な賃料で起業家などに事務所を提供、専門家が経営指導を行うインキュベート事業を実施するなど、新産業の育成に積極的に取り組んでいる。観光フェリーの呼び込みにも成功し、目覚ましい成果をあげている。

しかし多くのところは、まさにばら撒き、補助金行政の一環、というケースが多い印象である。

その要因として強く感じるのは、地方創生の担い手の多くに起業の経験がない、ビジネスそのものを展開したことがない、ということだ。