「意外な行動」で顧客の興味を引け

<strong>メルシャン社長 CEO 植木 宏</strong>●1953年、栃木県生まれ。76年小樽商科大学商学部卒、キリンビールに入社。2009年より現職。
メルシャン社長 CEO 植木 宏●1953年、栃木県生まれ。76年小樽商科大学商学部卒、キリンビールに入社。2009年より現職。

なかなか会えないお客様との関係をいかに築くか。キリンビール入社以来営業畑を歩んできましたが、今も簡単ではない問題です。

特に入社11年後から仙台支社で青森県を担当した頃はたいへんでした。県全域をカバーする営業マンは2名だけ。週5日のうち、4日は青森に泊まり込みでした。

私は津軽担当で、卸6店ほどと酒販店ベースで約1000軒を担当。以前の横浜時代は酒販店ベースで約200軒だったので、5倍です。しかも当時は、多くの料飲店さんが「キリンは話がしづらい」というイメージを持っていたので、そもそもアポが取りにくかった。

そのとき試みたのは、情と理に訴えることでした。まずは情です。

酒屋さんであれば、開店直後や閉店直前を狙って飛び込む。業務用の酒販店さんに対しては、その酒販店さんが納めているやきとり屋さんでやきとりを大量に買いこんで、それを夜10時くらいに届けてキーマンと話し込むチャンスをつくる。また、仙台からの電話商談でラチがあかないときは、すぐに電車に飛び乗り、その日のうちに青森に顔を出したりする。

意外な行動によって情に訴えるわけです。人間は、好きな人の話は耳に入るが、好きでない人の話はいい話でも耳に入らない。だから、意外な行動によって情に訴え、今度のやつは面白いぞと思われることに、力を注ぎました。