<strong>タカラトミー ボーイズホビー主任●高岡悠人</strong><br>1981年、大阪府生まれ。2004年タカラ入社。06年タカラトミーに。現在、グローバルボーイズホビー事業本部ボーイズ事業部ボーイズホビーチーム主任。
タカラトミー ボーイズホビー主任●高岡悠人
1981年、大阪府生まれ。2004年タカラ入社。06年タカラトミーに。現在、グローバルボーイズホビー事業本部ボーイズ事業部ボーイズホビーチーム主任。

そんな少年たちがハマる理由は、「ベイブレード」が一種のスポーツのようなものだからだと高岡氏は言う。いくら新作「ベイブレード」を次々に購入しても、それだけでは強くなることは不可能だ。どんなに高価なバットやミットを手に入れても、練習しなければ絶対に野球は上達しないように、「ベイブレード」もより強者になりたければ、ひたすら地道な練習を続け戦略を練らなくてはならない。

仕事抜きで「ベイブレード」大会に熱中するという開発チームの高岡悠人氏によると、「勝敗を左右するのは、“テクニック”“改造”“時の運”が、それぞれ33.3%ずつ」なのだそうだ。つまり、練習も研究もしない怠け者選手は、絶対に勝率を上げることはできないということだ。

実は、“最強”の「ベイブレード」というものは存在しない。「ベイブレード」の仕組みはジャンケンと同じ。守備型、攻撃型、安定型の3つのタイプに分かれるコマは、どんなにカスタマイズしようとも、常に弱点を抱える宿命にある。回転が速いコマは高速移動ができるが持久力はなく、反対に重心が低いコマは安定しているが攻撃力に乏しい。「ベイブレード」の勝負は、相手を弾き飛ばすか、自分が最後まで回り続けているかで決まる。ベイゴマのように重心を低く改造すれば勝てるという必勝法が存在しない。

今回の「ベイブレード」復活にあたっては、二代目には初代にない工夫も随所に凝らした。コマの周囲に金属を取り付けることで、ぶつかり合うと「ガキーン、ガキーン」と激しい衝撃音を生じさせたり、デザインやネーミングも最近のおしゃれな小学生のレベルに合わせ、よりストリートテイストを前面に打ち出した。4つに分かれる部品それぞれをフェイス、ウィール、トラック、ボトムと名付けたのは序の口、王道なところでモチーフに星座もあしらった。さそり座だとスコルピオ、うお座だとパイシーズと、自分だけのモチーフに魂を込めて戦うのである。

さらにWBCを意識したWBBAの名称は「ワールド・ベイ・ブレード・アソシエーション」の略。わざと大仰な名前をつけることで「ベイブレード」の公式組織があるという前提をつくり、公式ショップも認定した。現在、WBBA認定の公式ショップは全国で900店舗。要は街のオモチャ屋さんが希望を出して公式ショップになるわけなのだが、そこでは毎月公式試合が組織され、全国で最強の「ベイブレーダー」を決定するのだ。

実は初代「ベイブレード」が社会現象ともいえる大ヒットを記録したにもかかわらず、数年で失速したのには理由があった。子どもたちの世代交代である。「ベイブレード」に熱中した世代の下が参入してこなかったのだ。

「ベイブレード」はバトルゲームだ。1人コマを回していても面白くもなんともない。対戦相手がいてこそ改造やコレクションのしがいもある。ということは、いかに多くの対戦者たちの熱中を持続させ、さらに下の世代へと引き継げるかが、今回の二代目「ベイブレード」が流行し続ける最大のカギとなるのだ。

(小原孝博、室川イサオ、岡本 凛=撮影)