▼相談

24歳です。日本の政治をなんとかしたいと思って、4年後実家に帰り市議会選挙に立候補したいと思っております。世襲ではありません。選挙に金をつぎ込むシステムがおかしいと思うので、供託金と最小限の費用にしたいと思っていますが、やはり選挙カーなど使い、ある程度の金をつぎ込まないと当選は厳しいのでしょうか。

▼回答

やっぱ、お金は必要ですよ。名前を知ってもらわなきゃどうしようもないから、そこに一定の費用はかかる。けど、それって公職選挙法が問題なんです。これだけインターネットが普及して、ICTが発達しているんだから、公職選挙法を変えれば、お金のかからない選挙は実現可能です。

じゃあ、何でいまだにお金がかかる選挙の仕組みになってるかと言えば、そりゃ、既得権を持っている現職の人たちにとって、今のほうが都合がいいからです。彼らは今のやり方で、つまり後援会組織を作って、手足として動いてくれる人たちが必要不可欠な選挙の仕組みで当選している。だからそれを変えたくないんです。

現行のやり方で人とお金がかかる部分っていうのは決まっています。一つはポスター貼りですね。選挙掲示板へのポスター貼りは、人海戦術でやらなきゃいけない。あちこちに掲示板が設置されたあとに、選挙陣営がそれぞれの掲示板を回って、ポスター貼っていくわけですけど、これって非効率極まりない。普通に事務作業やったことがある人なら、こんな非効率なやり方しませんよ。どこか1カ所にベニヤ板を並べといて、ポスターを貼らせてから、各所に掲示板を設置すればいいじゃないですか。先に掲示板を設置して後からポスターを貼るなんて、こんなばかみたいな事務のやり方をやってる企業なんか倒産しますよ。

こんなやり方が変わることなくずっと続いているのは、やっぱり古い政治家にとって、今のやり方のほうがいいから。どうやったって人手が必要で、それを確保できなければ、選挙にならない。人手を確保できない若い新規参入者を拒んでるわけです。

こんなの、電子掲示板とかデジタルサイネージに切り替えれば人手も金も不要になります。行政がいろんなところに電子・デジタル公営掲示板を設置しておいて、普段は行政広告に使い、選挙のときにはボタン一つで候補者の顔を映し出せばいい。テレビなど何だの、全部インターネットでつないだような社会になれば、選挙期間中はずっと候補者の政策を流していくような仕組みもできる。そうなると選挙カーなんていらない。

候補者の政策がきちんと有権者に届く仕組みは、ICTを活用すれば必ずできる。そして人手も金もかからない。そうなれば若い候補者がどんどん誕生しますよ。そういう日本に早くしなければなりませんね。

今はまだ古臭い選挙の仕組みですが、この仕組みを変えるためにも、若いあなたに政治家になって欲しいものです。人手もお金もかからない選挙の仕組みは技術的には可能なんですから。じじい政治家じゃ、今の仕組みを絶対に変えません。古臭い選挙の仕組みは大変ですが、頑張って下さい!

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.9のダイジェスト版です。

(撮影=市来朋久)
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