新規採用が、団塊世代の大量退職で大幅増!

今年も教員採用試験が始まりましたが、関係者にとって気になるのは競争率です。受験者はそれが低いことを願い、採用側はその逆を望んでいます。

2015年度(2014年夏実施)の公立小学校教員採用試験のデータをみると、受験者は5万5834人、採用者は1万4355人となっています(文部科学省統計)。よって競争率は、前者を後者で除して3.9倍となります。

最近では、4人に1人が受かるのですね。

私は2000年度の小学校の試験を受験しましたが、当時の競争率は10倍を超えていたと記憶しています。不況のどん底で民間への就職が厳しく、受験者が多かったですから。

教員採用試験の競争率は、時期によって大きく違っています。図1は、公立小学校教員採用試験の競争率の推移をグラフにしたものです。過去40年間のカーブが描かれています。景気動向との関連も見るため、大卒就職率の推移と重ね合わせてみましょう。

競争率は70年代から80年代前半の低成長期に上がり、バブル期に低下します。1991年の競争率は3倍を切っていました。民間への就職が絶頂期だったためでしょう。

しかしその後、不況の深刻化により大卒者の就職率は急降下し、教員採用試験の競争率はぐんぐん上昇します。民間への就職が厳しくなったことにより受験者が増える一方、少子化により採用抑制が図られたためです。

ピークは2000年度試験の12.5倍。いみじくも、私の世代が新卒でトライした年ではありませんか。確かに当時の試験は激戦で、「まさかあの人が……」というような人がバンバン落とされていました。われわれの世代が「ついてない世代(ロスジェネ)」であることは、こういう統計からも思い知らされます。

今世紀以降は、試験の競争率は急落します。

景気の回復にもよりますが、もっと大きいのは、団塊世代の退職により新規採用が大幅に増えたことです。前述のように、2015年度試験の競争率は3.9倍。産業界の人手不足により、大卒の就職市場はますます売り手市場になると思いますが、これから教員採用試験の競争率はもっと下がるかもしれません。「公務員試験の競争率は、景気動向に左右される」というテーゼがありますが、上記のグラフでそれは可視化されています。