あなたはどうして話すのだろう。人を叱るためか、物を頼むためか。最も重要なことは、「誰に」「なにを」ではなく、「なぜ話すのか」である。相手や場面に応じ、目的をみつめなおすことで、話し方は劇的に変わる──。

「配慮」はしても「遠慮」はするな

ポジションがはっきりしている上司や部下と違い、同僚や同期との仕事をどう進めればいいか、悩んでいる人は少なくないようです。どのような立場にしろ、人に仕事を頼むうえで大切なことは、「配慮」はしても「遠慮」はしないことです。

遠慮をするのは「断られるかもしれない」「感じが悪いと思われるかもしれない」と不安だから。でもそれは、結局、自分の保身のためです。一方、配慮とは、相手が動きやすいように状況や役割などを踏まえておもんぱかることです。

遠慮の典型例は「よろしければ」「お手すきのときに」といった言葉。こうした言葉をいくら重ねても、意味がありません。頼み事をするときには、「何を」「いつまでに」「なぜ」を具体的に伝えることです。そのうえで、「××をお願いできますか」と相手の行動を明確にした依頼形で伝えます。最後に「もちろん私も手伝います」と歩み寄りの姿勢を示すとベターです。一方的に協力を求めるのではなく、一緒にミッションを進めるという姿勢を示すことが重要になります。

また頼み事をする前には、相手の状況を確認しておきましょう。いまどんな仕事を進めているのか。どれだけ忙しいのか。たとえば相手が「来週の役員会に提出するレポートを準備している」ということがわかれば、その先のスケジュールや動きが想像できます。こうした「配慮」ができていれば、正面から断られることは少ないはずです。

それでも引き受けてくれない同僚に対しては、コミュニケーションに改善の余地がないかを振り返ってみましょう。

あなたは相手の話に関心を持ち、しっかり耳を傾けているでしょうか。相手の話は聞き流すくせに、自分の主張は通したいというのでは、誰も聞く耳を持ってくれません。自分の考えや気持ちを伝えることができる人は、相手の言い分もきちんと聞いています。逆に言い分が相手に伝わらないと感じる人は、自分も相手の言葉を聞いていないケースが多いのです。

人に何かを頼むとき、ぜひ実践してほしいのが「DESI」という4つのステップです。