「待ち」の姿勢では在宅介護は難しい

「最期まで自宅で暮らし続けたい」。そう考える高齢者は少なくない。現在の介護保険制度でも、別居の老親を在宅のまま介護し、看取ることはできる。ただし情報収集が重要だ。

たとえば2006年から始まった「小規模多機能型居宅介護」。従来の「訪問」「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」を同じ事業所で組み合わせて利用できる。要介護度が最も重い「5」では自己負担額(1割)は月額3万円程度。月額の利用料は固定なので、サービスの量が増えても負担は一定だ。

3年前に始まった「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」では、ヘルパーや看護師の定期的な訪問に加え、自宅への緊急呼び出しにも対応している。これも要介護5で月額3万円程度の定額で利用できる。

これら新しいサービスはケアを受ける曜日や時間などの自由度が高く、それまでの在宅サービスより相当に使い勝手がよくなっている。

また医療も在宅で受けられる。08年までに制度ができた「在宅療養支援診療所・病院」では、24時間体制で訪問診療や訪問看護ができる態勢が確保されている。医師や看護師による在宅の看取りも増えている。

ところが、こうした介護・医療サービスは全国すべての自治体で受けられるわけではない。介護費用の負担増を恐れて、新しい取り組みには消極的な自治体も少なくない。

在宅医療に対応する診療所や病院、訪問看護ステーションの数もまだまだ少ない。積極的な宣伝をしていないため、探すのも一苦労。だが、地域包括支援センターやケアマネジャー、自治体などに問い合わせれば、必ず利用できる。在宅介護には情報を取りにいく積極的な姿勢が必要だ。