数字に強い専門職のエース社員が今回、特別に社外秘の資料公開してくれた。ほかでは絶対に見られない保存版だ。

保険試算表を一から作成

日本生命保険には、国際的な専門職資格である「アクチュアリー」の正会員資格を持つ社員が100人以上いる。保険や年金の設計を受け持つ数理のプロフェッショナルだ。通常、取得するまで8年はかかるといわれている難関資格。入社4年目の小笠原綾輔氏は、3年でアクチュアリーを取ったという同社数理グループの若きエースだ。

商品開発部 数理G 副主任 小笠原綾輔氏●もともと数学が得意という小笠原氏。部内の各グループから人を出して1つの保険をつくっていくが、彼のような中堅社員の日々の業務は「ひたすら計算」という。ほかに保険商品が売り出された後の分析なども行う。

小笠原氏の業務は、新しい保険商品の開発に当たり「数字の裏付けによって、将来、きちんと給付金や保険金がお支払いできる商品になるかどうかを検証します」。

営業職員たちは性別や年齢などからすぐに端末で保険料がいくらになるかをはじき出してくれるが、その裏には膨大なバックデータがある。小笠原氏はエクセルでその基となるデータを作成し、条件を変えてはシミュレーションを繰り返している。

「保険商品をつくるうえで主要な条件は予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つです。これらの設定によって各社で保険料が異なることとなります」

性別や年齢にこれらの率をさまざま当てはめ、保険料が適切で、かつ支給が確実な保険商品になるように、日々計算するのが仕事だ。

エクセル表をつくるときによくつかうのがOFFSET関数だという。

「たとえば数字の羅列の中から、40歳でがんにかかる確率を引っ張ってきたいときなど、OFFSETで指示してやります」

保険の設計は一つ一つ違うので、シミュレーションの仕方も千差万別だ。たとえば最近携わった「ニッセイみらいのカタチ5つ星」と「ロングドリームGOLD」。前者はがん・急性心筋梗塞・脳卒中に重点的に備える保険なので、この3つの疾病それぞれにかかる確率などを細かに計算し、年齢別にシミュレーションしなくてはならない。