私の企業研修やセミナーでは、受講者に電卓を用意してもらっている。実技に必要なのはもちろんだが、もう1つ大きな理由がある。受講者の「数字に対するリテラシー」を確かめるためだ。実は、数字に強いか弱いかの違いは、電卓の使い方に顕著に表れる。

ちなみに、スマートフォンの電卓機能を使っている人も多いが、私はおすすめしない。小さくて使いづらいうえに、大事な商談の場などでは相手によい印象を与えないからだ。

それでは試しに、電卓を使って次の問題にトライしていただきたい。ただし、メモリー機能は使用不可である。

「ある店の前月の平均客単価は5300円、来店者数は3200人、来店者に対する購入率は3.0%だった。今月は閑散期のため、来店者数は2割減が予測される。平均客単価はキープしつつ、購入率を1.5倍にアップさせたら、今月の売上高は前月比何%増えるか?」

まず「数字が苦手な人」の典型的な作業例から見てみよう。最初に前月の売上高を計算し、「5300(平均客単価)×3200(来店者数)×0.03(購入率)=508,800円」とする。それを紙にメモし、電卓の「C」ボタンを押して表示をクリアする。

次に、今月の売上高を求める。「5300(平均客単価)×3200×0.8(来店者数)×0.03×1.5(購入率)=610,560円」。再び「C」ボタンを押してクリアする。最後に、「610,560(今月の売上高)÷508,800(前月の売上高)=1.2」を計算し、「前月比20%増」という答えを出す。

一連の計算も、結果も正しい。しかし、素早く処理するという観点では100点とはいえない。