アサヒビール名古屋支店の倉地俊典支店長は朝礼やミーティングのたびに部下の営業トークを指導する。なかでも彼が「重要だ」と指摘しているのが、営業マンが得意先に行ったときの第一声、つまり「第一トーク」である。第一トークが魅力的であれば、得意先は仕事の手を休めて、営業マンの話に耳を傾けてくれるからだ。

「事務的な連絡でも、上手い人と下手な人がいる。朝礼も営業トークの練習の場になります」(倉地氏)

「事務的な連絡でも、上手い人と下手な人がいる。朝礼も営業トークの練習の場になります」(倉地氏)

「営業マンの成績を決めるのはトークです。だから、私は『トーク磨き』を通して、彼らを徹底指導します。なぜトーク磨きを始めたかといえば、そのきっかけは商品に対する部下の表現力が拙いものだったから。

たとえばアサヒには熟撰というプレミアムビールがあるのですが、ある部下はそれを飲食店に説明するとき、『ヱビスみたいな贅沢なビールです』と表現していた。これはいかんと思って、朝礼やミーティングではトーク磨きに力を入れることにしました」

トーク磨きを続けているうちに、部下たちの表現力もアップし、今では、魅力的な商品説明をする部員が多くなった。たとえば熟撰の場合は、「シェフたちがナンバーワンに選んだプレミアムビールです」といった気を引く表現が出てきたし、また、アサヒが扱っているイギリスのバス・ペールエールについては、「ナポレオンも飲んだビールです」のような殺し文句も表れた。倉地支店長は語る。

「これまでのビール営業は得意先に足を運ぶことが大事でした。しかし、営業トークを磨けば、最初の訪問でも結果を出すことができる。足を運ぶことは誰でもできます。それよりも、私は朝礼やミーティングで部下たちとトークの内容を考えて、結果を出したい」

トーク磨きは酒類の営業だけに有効な方法ではない。アサヒビール名古屋支店を真似して、朝礼やミーティングで営業トークを磨けば、セールスマンの成績はアップするのではないか。

(山口典利=撮影)