「把握すること」と「見極めること」

ビジネス環境の変化や人手不足による業務量の拡大でこなすべき仕事に追われているサラリーマンは多い。ましてや自分の仕事と部下のマネジメントという二重の負荷を背負うプレイングマネージャーは激務だ。近年では社会的な長時間労働規制もあり、いかに効率よく仕事をこなしていくのかが最大の課題ともいってよい。

仕事術にはタイムマネジメント手法など様々あるが、生産性の研究の世界的権威として著名なデビッド・アレンの開発した「仕事の整理術」の手法であるGTD(R)(Geting Things Done)に注目が集まっている。その手法は一般的な時間管理術と異なり、短・中・長期の仕事の処理をトータルで解決していく「ワークフロー管理手法」ともいえるものだ。

短・中・長期の仕事の処理をトータルで解決していく「ワークフロー管理手法」。

具体的には(1)把握する、(2)見極める、(3)整理する、(4)更新する、(5)選択する――という5つのステップを踏むが、初心者にとって肝になるのが最初の把握すること、見極めることの2つだ。

「把握する」のポイントは、新たに発生する仕事や、「気になること」をすべて集めて把握することから始まる。デスクの上または仕事のメール、やりかけのまま残っていることや実行しようと思っていても手を付けていないこと、何とかしないといけないという頭の中に溜まっているアイデアやもやもやとしたものをメモ用紙に書いて、頭の中にあるものを全部外に吐き出すこと。

次に「見極める」とは、集めた「気になること」が何を意味しているかを自分で考え、行動できることかどうか、どのように行動するかを見極めることだ。具体的には行動を起こす必要のないものは(1)捨てる・削除する、(2)資料として保存する、(3)今やる必要はないが、いつかやる必要が出てくるかもしれないものは「保留する」――の3つに分類する。

残ったものが「行動を起こす必要があるもの」だが、これは(1)2分以内で終わるものはすぐやる、(2)誰かに任せる、(3)後でやる(2分以上かかり、自分でやるべきこと)――の3つに区分する。後でやるべきことの中にはどのように行動してよいのかわからないものもある。それを明確化するには(1)求めている結果とは何かをイメージし、(2)次にとるべき具体的な行動とは何かについて、複数の段階に分けてやるべき行動を見える化していくことがポイントだ。たとえば先送りにしていた「新規顧客向けの提案書をまとめる」ことを実現するための第一歩を「ネットで業界情報を集める」という行動を設定することで動きやすくすることができる。